北海道でもまもなく田植えの季節を迎えるが、2025年は2024年の夏のようにコメの品薄状態に陥る心配はないのだろうか。
コメ農家、そして小売業者を取材した。
コメ農家が話す「価格高騰の原因」
コメどころ、北海道上川地方の東川町では9日、コメの豊作を祈る「御田植祭」が行われた。
古式にのっとり早乙女が手でひとつひとつ苗を植えていく。
2024年は猛暑の影響などでコメ不足となり、コメの価格が高騰。
政府が備蓄米の放出を続けている今も、コメの価格は高いままだ。
「備蓄米を放出しても(コメの)値段は下がってこない状況が続いているが、私たち生産者も安定した価格で届けなければならない責任がある」(JA北海道中央会 樽井功会長)

旭川市の稲作農家、川添宏明さん。
来週田植えを予定していて、今は田おこしの作業に追われている。
川添さんのもとには2024年のコメ不足以降、注文が殺到。
「不安に思う客が多く『1年分買わせてください』という客も非常に多くいた」(コメ農家 川添宏明さん)
川添さんの農場では、コメの品質が落ちないよう真空パックでコメを発送した。
「長期保存でも味が落ちない」と好評で、2024年は2度値上げをしたにも関わらず全国から引き合いが相次いだが、売るコメはすでにないという。

「順調に育っています」(川添さん)
農業用ハウスでは4月16日に植えた稲がすくすくと育つ。
品種は「ゆめぴりか」や「ななつぼし」などで300トン以上の収穫量を期待し、2024年より作付面積を増やした。
川添さんはコメの価格高騰の原因は、政府の政策にあると考えている。
「数年前から業者が『コメがない』と秋口から買い集めていった。政府が生産量を正確に把握しきれていなかったので、政策の転換が遅れ、今このような状況になっていると思う」(川添さん)

備蓄米の効果みられず… “17週連続”最高値更新
農林水産省の発表によると、全国のスーパーで販売された米5kgあたりの平均価格は最新で4233円。
備蓄米の効果はみられず、17週連続で最高値を更新した。
「札幌市のスーパーでは、5キロのななつぼしが3700円台、そして一番安い3500円台のお米は売り切れています」(安野陽介ディレクター)
こちらのスーパーでは、北海道産米を中心に、2つのコメ卸売業者から仕入れていて、いずれも3000円台後半の値段で販売している。
備蓄米は4月と5月に5kg100袋ずつが入荷したが、わずか2日で完売に。
「去年の倍ですから異常ですよね。許容範囲はこえているんじゃないか」(スーパーの客)

値段高騰に苦慮する中、新たな問題も。
「卸売業者の在庫がひっ迫してる状況で『納品制限』の依頼もあり、こちらも数量の確保が難しくなっている」(キテネ食品館 中塚誠社長)
ゴールデンウィーク明けの今週から、納品の数に制限を出す卸売業者が出てきているという。
「全体的に数量制限がなされてくると、店頭からお米が消えるという去年の夏に起きたことが起こってしまう可能性が」(中塚社長)
2024年と同じコメ不足への懸念が出てきている。
「(2024年と)同じことが繰り返されるって事ですか?普通じゃないですよね。考えられないですよね。主食ですから」(スーパーの客)
