山形県内は間もなくサクランボのシーズンを迎えるが、毎年、その収穫の人手不足が深刻な課題となっている。そこで、サクランボの生産量日本一の東根市を会場に、農家と求職者のマッチング面談会が初めて開かれた。

適期が短く瞬間的に人手が必要なサクランボ
5月7日、東根市で厚生労働省が初めて開催したのが、「サクランボ限定のお仕事面談会」。
参加したのは、“人手不足に悩む”東根市内34のサクランボ農家と、“短期の仕事を求める”20代~70代までの95人。

この時期どうしても人手がほしい生産者と、働きたい人をつなぐ決め手は、一体何なのだろう。
県内のハローワークには毎年この時期、サクランボ農家から「人手が足りず、せっかく実ったサクランボの収穫が間に合わない」との悲痛な相談が多数寄せられる。

サクランボは、出荷に適した時期が品種ごとに約2週間と非常に短い果物。
そのため、瞬間的に多くの人手が必要なのだが、農家の高齢化などで人手が集められず、出荷できないまま廃棄せざるを得ないサクランボが後を絶たない。

生産者が求職者に働きやすさを提示
こうしたロスを解消したいと企画されたのが今回の取り組み。
就職活動中の30代の男性は、毎日は難しいがタイミングを見つけて働きたいと、参加した。

生産者:
来られるときでいいし、自分の都合にあわせて休んでもいい。サクランボの収穫の2週間は一番人手がほしい時期、できるだけ来てほしいのが本音だけど…。

サクランボの収穫は、脚立に上るなど体力も必要なため、若さと体力に農家からは期待を寄せてもらえたそう。
生産者と面談をした求職者は、「人手不足と言われているので、少しでもお手伝いできれば、こちらも働けるのでうれしい。農家のためにも自分のためにもなるウィンウィン」と話してくれた。

収穫時期が短く人材集めが一番のネック
さらに2024年は、収穫前の高温で熟しすぎて出荷できない「うるみ果」が大量発生。
熟しすぎた状態になると、味覚はもちろん、食感や感触・保存期間も大きく異なってくる。

近年相次ぐ高温は、ただでさえ短いサクランボの収穫時期をさらにせばめるもので、人手の確保がより必要とされている。
生産者は、「気温が高く収穫時期が短い。遅れて収穫したものは日持ちがしない柔らかい実になる。それまでに収穫を終えたい、短い時間に人をかけなければ。人材集めが一番のネック」と話す。

それに対し、ハローワーク村山・竹田紀晃所長は、「面談会をきっかけに多くの農家が採用できて、今まで収穫できなかったところが収穫できるようになることを期待するし、求職者が就職できることを願う」と話していた。

サクランボの収穫時期に人手を確保し、山形のおいしいサクランボを多くの人に届けたい。
(さくらんぼテレビ)