大阪・関西万博に関するSNSの投稿で大きな反響があった「ナウル台座」は、ナウル共和国のブースにある、白い円柱です。
ナウル共和国政府観光局の公式Xで「心が綺麗な人には台の上の展示物が見えるはず」と投稿して話題となり、政府観光局に問い合わせましたが、2025年4月25日の放送で、「回答がありませんでした」とお伝えしていました。
ところが放送後、ナウル共和国政府観光局の公式Xが「処分を受けた」などの投稿をしたところ、再び注目を浴びました。改めて公式Xを通じて取材を申し込んだところ、“中の人”が電話インタビューで台座の正体を明かしてくれました。
■番組の扱いに公式アカウントが反応「35分間の職務停止処分」
ニュースONEでは2025年4月25日の番組で、Xでバズった「ナウル台座」について取り上げました。この正体についてナウル共和国政府観光局に取材の依頼をしましたが、番組の中で「回答がありませんでした」とお伝えしていました。
すると、ナウル共和国政府観光局の公式Xは4月30日午前10時45分、政府観光局の公式Xが「ワイが東海テレビのニュースONEに返事し忘れてしもうたせいでナウル台座がそもそもなんのか「回答なし」になってしまったんや。ますます謎が深まるばかりや。これは観光大臣から懲戒戒告されそうやのう。」と投稿。

午後0時21分には「お詫び」と題して「東海テレビ様の取材にX(旧Twitter)に集中し過ぎて回答を忘れると言う重大インシデントが発生したことが判明しました。担当者には厳重注意をし、35分間のX職務停止処分の厳罰に処しました。重ねてお詫び申し上げます。」と投稿し、いずれも再びバズっていました。

しかし「ナウル台座」については触れられていなかったため、その詳細について改めてナウル共和国政府観光局に取材を依頼したところ、「その正体」が判明しました。
■広報担当者も「何なんですかね」…ナウル台座の正体求め万博会場へ
5月1日、私たちは万博会場のパビリオン「コモンズ-B」にあるナウル共和国のブースを訪ねました。

案内してくれたのは、このパビリオンなどを担当する広報の斉藤博之さんです。

ブースを案内してもらうと話題の「ナウル台座」は、一番目立つところにありました。

直径はおよそ1.5メートル、高さおよそ80センチで、どこからどうみても白い円柱です。

斉藤博之さん:
何なんですかね、私もなんか最初から置いてあるなと思ってたんですけど、不思議に思っています。

斉藤さんも話題になっていることは知っていましたが、詳しくは知らないといいます。
ブースにはこのほか、ナウルの伝統的な工芸品などもありますが、やはり、「X」の投稿の影響力は大きいようで、「ナウル台座」を目当てに訪れる人が多いといいます。

来場客の女性:
札幌からこれ(ナウル台座を)見に来ました。Xでナウルをフォローしていて、ずっと見たくて、探してきました。感動しました。
来場客の男性2人組:
Q.何か見えますか
何も見えないです。
子供:
Q.何か見える?
特に見えませーん。

ブースにいるナウルの人に「What is this?」と聞いても…。

笑顔をみせられるのみでした。
■救急車も日本の中古車でコンビニらしき店の名も…ナウル共和国はどんな国か
ナウル共和国は、ハワイとオーストラリアの間にあり、総人口は12600人ほどの南太平洋の小さな島国です。
美しい海に囲まれた世界で3番目に面積の小さい独立国です。

ナウル共和国は、今回バズった投稿をした「ナウル共和国政府観光局」のXアカウント(@nauru_japan)で、日本に向けてPRしています。
絶景写真のほか、“ゆるい”投稿でフォロワーを集め、その数は、国の人口約40倍にあたる、50万人を超えています。

かつてリン鉱物の採掘で莫大な収益があった国で、当時は生活費、医療費など生活に必要なお金のほか、結婚すると新築の家も支給されていたといい、その影響で、おおらかでのんびりした国民性だということです。

日本とは友好関係にあり、走っている車のほとんどは日本の中古車で、救急車や消防車も日本のものを使っているといいます。

また、島に1つ、コンビニの様な店がありますが、名前は「ファミリーマート」です。

日本からの直行便はなく、旅行に行くにもビザが必要で、2024年は日本からの約20人の観光客が訪れたということです。
■遂に判明…中の人が明かした「ナウル台座」の正体
そして「ナウル台座の真実」を確かめるため、ナウル共和国政府観光局のXのアカウントにコンタクトをとってみると、いわゆる“中の人”が電話インタビューに応じてくれました。
ナウル共和国政府観光局アカウントの「中の人」:
ちょっとしっかり取材みたいのは、御社が初めてです。すいません、ちょっと今私寝ちゃってて、すみません。もともと太平洋全般の外交関係の仕事をしていまして、それでナウルの大統領の方とか、要人の方と仲良くさせてもらっていまして。

“中の人”は、2020年に日本でナウル共和国政府観光局の立ち上げに参加し、費用の掛からないSNSを使って、国をPRしているといいます。
この“中の人”に単刀直入に「ナウル台座」とは何なのか、聞きました。
ナウル共和国政府観光局アカウントの「中の人」:
そうですね…ちょっと、まあ実際はモノが到着していなくて、というか置く予定のモノもまだ決まってないみたいなのが本当です。

ナウル共和国は、国民性が“大らか”で、何かを置こうと計画したもののまだ決まっていないうえ、決めたとしてもいつ届くのかもわからないといいます。
ナウル共和国政府観光局アカウントの「中の人」:
万博終了まで(何もないまま)いくかもしれない、もうちょっと誰も分っていない。何もない台座になってしまったので、ちょっとああいう風に宣伝に使えるかなと思って。台座の正体をばらしてしまったので、上司からですねもしかしたらX担当者として、X禁止が今まで35分の懲罰を受けていたんですけれども、40分ぐらいになるんじゃないかと非常にいま不安です。
2025年5月2日放送
(東海テレビ)