静岡市駿河区にある「幅3mの家」。中はどうなっているのか、誰もが気になる謎の建物だ。調べてみると限られた空間を広く使うアイデアでいっぱいのモデルハウスだった。

「3mの家」外観チェック

南幹線を大浜街道を越えて西に進んだ新川の交差点。見つけたのは、細長~い建物。大きな文字で「幅3mの家」と書かれている。

テレビ静岡・大森万梨乃アナウンサー:
なかなか狭い。これ、本当に家なんですかね?

そもそも人が住めるのか気になる。女性が両手を広げて2人分ぐらいの幅。建物の1階はガレージになっていて、車も止まっていた。その横を人が1人通り抜けられるスペースはある。

両腕を広げるとこのサイズ感
両腕を広げるとこのサイズ感
この記事の画像(9枚)

インターホンを押すと、声が返ってきた。玄関から出てきたのはスーツ姿の男性。確かに人はいるようだが、住んでいるのだろうか。

どのような建物なのか聞いてみた。

建築システム・蒔田貴嗣さん
狭小住宅を専門に建てる住宅会社で、幅がたとえ3mしかない所でも建てられますよという展示場です

「幅3mの家」の正体は、狭くて小さい土地に建てることを専門とする住宅メーカーのモデルハウスだった。

家の中は? 1階には書斎も

とはいえ幅は3m。本当に人が暮らすことは、できるのだろうか。幅3mの家の中を案内してもらった。

1階にはビルトイン式の雨に濡れない駐車場と玄関が。玄関を入ると書斎などに使えるスペースもある。

建築システム・蒔田さん
3mですが狭さを感じないように工夫しながら設計しています

2階には団らんキッチンスペース

階段を上がって2階に行くと、開放感のあるキッチンがあった。

キッチンとカウンター式のダイニングテーブルは一体となっている。まとめて中央に配置することで、動線をふさぐことなく、効率的に空間を使うことができる。

身近なもので幅3mというと、JRの車両の幅と同じとのこと。そこにテーブル・キッチン・棚や家電など機能が集約されている。

大森アナ:
バーのような雰囲気もあって、開放的ですね

狭小住宅を造ってきた経験のなかで「誕生日にケーキや、鍋を囲めない」と言われたことがあり、テーブルの形も工夫した。

鍋が囲める半円形のテーブル 奥)建築システム・蒔田貴嗣さん 手前)テレビ静岡・大森万梨乃アナウンサー
鍋が囲める半円形のテーブル 奥)建築システム・蒔田貴嗣さん 手前)テレビ静岡・大森万梨乃アナウンサー

カウンターの端が半円形になっている。円に沿って座れば、鍋や誕生日会など、何かを囲んで食事を楽しみたいというニーズにも対応できる。

キッチンの隣はリビングだ。

省スペースの家具でリビングもスッキリ
省スペースの家具でリビングもスッキリ

ソファが大きすぎると歩くスペースが狭くなってしまうので、薬局や病院の待合室にあるような省スペースのソファを配置して解決。家具を上手に選ぶことで幅3mのリビングもスッキリしたくつろぎのスペースになる。

2階には他にも、空間を上手に使った洗面台やお風呂、トイレなどの水回りが設置されていた。

さて、ここまで見てきて3mの家には普通の家にはある、あるものがないことに気づく。

建築システム・蒔田さん
普通の家には「廊下」がありますが、3mの家の設計ではゼロにしました

答えは、廊下。間取り図を見ても廊下は見当たらない。

幅3mの家は、階段以外のすべてが生活空間。本来は通路になる場所をリビングにしているので、床面積以上の広さを感じることができる。

収納問題を解決する3階

さらに階段を上がって、寝室などのスペースがある3階に来た。

2つの寝室と第2のリビングで合計3部屋ある。部屋の区切りに引き戸を採用することで、より開放的に感じる。

さらに、屋根裏にはロフトがあるので、見た目以上の収納力も備わっている。

1階も部屋としてカウントすると、4LDKになるという。

一番気になるのは値段

気になるのはそのお値段。

建築システム・蒔田さん
1フロア10坪で、層3階になるので総面積は30坪。坪単価が80万円なので、税別2400万円になります

売れ残りの比較的安い土地を購入して、建物にお金をかけられるのが狭小住宅の良いところ。幅は3mでも可能性は無限だ。

幅3mの細長い家の正体は、各所に工夫がなされた狭小住宅のモデルハウスだった。3m空間で逆に“広さを”体感してみてはどうだろうか。

■スポット名 幅3mの家モデルハウス
■住所 静岡市駿河区津島町1-15
■問合せ 0120-605-017 ※見学は要予約

(テレビ静岡)

テレビ静岡
テレビ静岡

静岡の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。