名古屋めしの代表格として知られる味噌カツの「矢場とん」は2008年から、カンボジアに現地の子供たちが学ぶための学校を作り続けてきた。きっかけは77歳の女将が、19年前に旅行で訪れた際に見た、驚きの光景だった。

■カンボジアで1500人の中高生が学ぶ「矢場とんスクール」

カンボジアの首都、プノンペンから車で約1時間のところに、矢場とんが運営する学校「矢場とんスクール」がある。

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ここではあわせて約1,500人の中学生と、高校生が学んでいる。

カンボジアにはまだ学校が少なく、距離の問題で通えない子供たちがたくさんいるという。

矢場とんは2008年以降、5つの学校を作ってきた。

■観光客に物乞いする子供たちが…旅行で訪れた女将に“決意”させたショッキングな光景

名古屋市中区に本店を構え創業78年、国内外に31店舗を構える「みそかつ矢場とん」がカンボジアに学校を作ったのは、2006年、女将の鈴木純子さん(77)が旅行で訪れた際に観光客に物乞いする子供たちを見たのがきっかけだったという。

教育の場を与えたいと強く思った鈴木さんは帰国後、すぐに現地で目の当たりにした光景を社員に伝え、社内で募金を集めた。

それまで無料で提供していたスタッフの「まかない」を食べた人に募金してもらい、それを元手にカンボジアに学校を作り続けてきた。

■「未来が明るくなるように」…矢場とんが願う子供たちの今後

2025年1月、鈴木さんら矢場とんのスタッフ17人はカンボジアの「矢場とんスクール」を訪れ、現地の子供たちとスポーツや音楽、そして書道などで交流した。

書道を初めて体験した高校3年生のリカさんは「書きやすかったし、書道を教えてもらって嬉しかった」と笑顔で振り返った。

また、昼食には矢場とんの熟練のキッチンスタッフが現地で食材を仕入れ、肉じゃがを振舞った。

肉じゃがを子供たちはおいそうに食べ、4杯もおかわりした小学3年生のダナは「とてもおいしかった。学校を作ってくれて嬉しい。勉強頑張って将来は医者になりたい」と感謝していた。

矢場とんは「この学校を通じていろいろな夢を追いかけ、カンボジアの今後を担う人材に成長し、国の未来が明るくなってほしい」と話している。

(東海テレビ)

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