福島県福島市のイトーヨーカドー福島店が閉店して1年が経過した。駅前の人通りは3割以上減少し、地域経済に90億円を超えるマイナスの影響を与えているという試算もある。一方、郡山店跡地には新施設がオープンし、にぎわいを見せている。福島駅前の再開発が急務となっている。
タクシー「駅利用客だけでは…」
イトーヨーカドー福島店が閉店してから1年、駅周辺の人の流れにも大きな影響が出ていた。タクシープールでお客さんを待っていたこの道40年以上の高橋一充さんは、イトーヨーカドー閉店後に売り上げは2割ほど落ちたという。

「買い物客以外にもタクシーの利用が減っています。買い物のお客さんがいないと、新幹線で来たお客さんくらいになってしまう。そういう点で、ずいぶんタクシーも売り上げはダウンしています」と高橋さんは話した。
90億円超 マイナスの経済効果
2024年5月6日、イトーヨーカドー福島店は惜しまれながら39年間の歴史に幕を閉じた。福島市によると、閉店前後でJR福島駅西口の通行量は平日・休日ともに3割以上減少。

地域経済を専門とする、桜の聖母短期大学の和田賢一教授は、福島市民の消費支出額の36%が市外に流出し、福島市にとって90億円を超えるマイナスの経済効果だと試算している。
人の流れ 周辺店舗にも影響
旧イトーヨーカドー福島店のすぐ隣に店を構える「テーラーうめみや」。店を経営する梅宮均さんによると、イトーヨーカドー閉店後に常連以外のお客さんは3割ほど減り、周辺でも経営を続けられなくなった店が目立ち始めたといいう。

梅宮さんは「この1年の間に、お客さんそのものが回らなくなってきた。私ら手の打ちようがないから」と話した。
ほぼ同時期に閉店した郡山店
イトーヨーカドー郡山店の跡地に、2025年3月に誕生した「ヨークパーク」は、福島県内初出店を含む36のテナントが入るとあって、幅広い層の客でゴールデンウィークもにぎわった。
旧イトーヨーカドー福島店とほぼ同じ時期に閉店したものの、そこから約10カ月でグランドオープンすると、1000人もの人が列を作ってその開店を待ちわびた。

ゴールデンウィークにも人の波は途絶えず、郡山市の経済の要として役割を発揮している。
経済の渦を作り出す大型店舗…地域に存在感を示すことが求められている。

福島駅周辺では、東口の再開発ビルも当初の計画から3年遅れて2029年度の開業方針と、駅前の空洞化が懸念されている。「こどもの日」には、まちなかでイベントも開催されてにぎわったが、このにぎわいを日常的に維持しなくてはならない。まちの象徴となるような店舗や施設の必要性をあらためて感じる。
(福島テレビ)