「健康のタネ」、今回は背骨が左右に曲がってしまう病気「側弯症」について取り上げます。原因は不明で、成長期の10代に発症することが多いと言います。どんな病気なのか、家庭でできるチェック方法などを専門医に聞きます。
左右に大きく曲がった背骨、「側弯症」の症状が進んだ12歳の女の子のレントゲン写真です。
側弯症とはどのような病気なのでしょうか。
福井大学病院・中嶋秀明医師:
「側弯症は正式名称は脊柱側弯症と言う。脊柱というのは背骨、側弯は横に曲がるということだが、横だけでなくねじれるように曲がるので、見た目が変形する病気。レントゲンの正面で曲がっているところの角度を測って10度以上あるものを側弯症と定義する。これだけ曲がっていても痛みがほとんどないのが特徴」
他の病気に伴って発症することもありますが、約8割は特に原因がわからない特発性側弯症。中でも、成長が著しい10代で症状が出始める思春期側弯症が多く、軽度なものを含めると約50人に1人が発症しているとされています。
中嶋医師:
「小学校高学年から中学校の最初くらいの年齢で発症しやすくて、8割9割が女の子。側弯症の発症や進行は、生活習慣とは関係ないと言われている」
成長期は進行が速くなる傾向があり、半年で5度以上曲がってしまうこともあります。一般的には成長期が終わると、症状が急速に進むことはなくなると言われています。
中嶋医師:
「骨の成長はだいたい17、18歳で終わるが、骨の成長が終わったときに一定の角度以下だったらそれ以上は進行しない。胸の場合は45度から50度、腰の場合は35度から40度が一つの目安。その角度を超えてしまうと、大人になっても年間0.5度から1度ずつ進んでしまうと言われている」
治療は▼側弯が40度程度まではコルセットを装着する保存療法▼それ以上になると手術が勧められます。
中嶋医師:
「この子の場合は12歳の段階で、角度が60度ある状態。この状態だと大人になっても進行してしまうので手術が必要になった。背骨にねじを入れていき、ねじを棒で連結して変形を矯正して固定する」
手術は骨が柔らかい10代のうちに行うことが望ましいとされています。
中嶋医師:
「20代、30代になってやっぱり手術をしたいとなっても、大人の骨になると子供の骨と違って硬くなるので矯正できなくなる。手術の出血も多いし時間もかかる、難しい手術になる。側弯症の手術はやるなら10代でやるべき」
最後に、早期発見のために家庭でできるチェック方法を紹介します。
▼両方の手のひらを合わせ、両腕を自然に前に垂らし膝を伸ばしたまま、ゆっくりと前屈。肩、背中、腰部の順に左右の高さに差があるかどうかを確認。
▼真っ直ぐに立った状態で、肩の高さ、肩甲骨、ウエストラインの高さと突出の程度に左右差があるかをチェック。
これらのセルフチェックで左右の差があれば側弯症の疑いがあります。
中嶋医師:
「側弯症は発症を予防できる病気ではないので、早期に発見して早期に治療をする。特に小学校高学年から中学校の最初くらいの子は、見た目に変わりがないかチェックしてあげることが大切」
成長期に発症することの多い側弯症。子供の体の変化を注視し、早期に対応できるようにしましょう。