中日ドラゴンズはGWの阪神タイガースとの3連戦で、3連勝を飾りました。このなかで「魚雷バット」に注目が集まりました。ドラゴンズOBの山崎武司さんに実際に使ってもらい、その特徴について解説してもらいました。
■「魚雷バット」=「トルピードバット」の特徴は
「魚雷バット」と呼ばれる「トルピードバット」は、先端にかけて太くなる従来のものと異なり、ボールを捉える芯の部分が最も太く、先端が細くなるのが特徴です。

このバットでホームランが量産されたメジャーリーグで話題となり、日本のプロ野球でも2025年シーズンの途中から使用が解禁されています。
■山崎武司さんが指摘する魚雷バットの「向き不向き」
ドラゴンズのレジェンドで、セパ両リーグでホームラン王に輝いた山崎武司さんに、実際に使ってもらい、感想を聞きました。

ドラゴンズOBの山崎武司さん:
詰まると飛ぶという感じ。基本的には普通のバットと変わらないですよ。ここに芯があるんだけど、僕らがよく言う「詰まり芯」、詰まってホームラン、遠くへ飛ばすことが可能なバットなんですよね。
魚雷バットは「芯」の部分が手元寄りにあるため、詰まり気味の打球でも飛距離を伸ばすことができ、パワーヒッターではないバッターには追い風になる可能性もあるといいます。
しかし、山崎さんのようなヘッドのしなりを活かすホームランバッターには、あまり向かないのではないかと指摘します。

ドラゴンズOBの山崎武司さん:
ヘッドがどうしても、細くなって太くなって短くなっていく分、ヘッドの使い方をすごく意識しているバッターはこれを好まない可能性もある。僕がもし現役で「魚雷バット使ってみる?」と言われたら、僕は使わない。
■アマチュアでも魚雷バットの使用に関心
魚雷バットは、一般の野球ファンからも関心が高まっていて、野球用品店でも販売されています。
愛知県津島市の「ホッタスポーツ」は、お客さんからの要望を踏まえてオリジナルの魚雷バットを製造しました。

ホッタスポーツの堀田恭伸さん:
バット自体で飛距離が伸びているわけではなく、芯の位置が手前にあるので、試合でよく詰まってしまう、芯より手前で打ってしまうバッターにとっては、その位置が芯になりますので、ヒットになる確率が上がる。バットのバリエーションの一つと考えていただければいいと思います。
サンプル品を使った社会人チームからは、正式に数十本の受注も決まっているといいます。
店内では実際に試し打ちもできます。野球経験がある記者が試し打ちをしてみると、バットの重心が近くにあってとても振りやすく、ミートしやすい印象でした。

客:
初めて見ました、びっくりしました。ここで打たないと力が発揮されないじゃないですか。やはり1回試してみたいなって、新しいものが好きなので。
プロからも野球ファンからも、熱い視線を送られる魚雷バット。野球界の常識が変わるかもしれません。
■愛知や岐阜で大山選手や筒香選手の魚雷バットを製造
プロ選手向けの魚雷バットは、バットの生産で知られる岐阜県養老町のミズノテクニクスの工場や愛知県豊川市にあるバット専門メーカー「HAKUSOH BAT(はくそうばっと) JAPAN」でも製造されています。
ミズノテクニクスでは、阪神タイガースの大山悠輔選手や西武ライオンズの炭谷銀仁朗選手の試合用魚雷バットを製造しています。
HAKUSOH BAT JAPANは、DeNAベイスターズの筒香嘉智選手、日本ハムファイターズの清宮幸太郎選手や万波中正選手の練習用のバットを既に製造しています。筒香選手には5月2日に、試合用の魚雷バットを手渡したそうなんです。
(東海テレビ)