新しい漁業への挑戦へ

漁獲量の減少と就業者の高齢化に悩む広島県の漁業。高齢者でもできる漁業と地元活性化を目指して地域が一体となった新たな取り組みが始まっている。

瀬戸内の豊かな海の幸に恵まれた広島県。しかし今、漁業就業者の高齢化により、県内の漁業はピンチを迎えている。平成30年の調査では、県内の漁業就業者の5割以上が65歳を超えている。

そんな中、新しい漁業への挑戦が始まった。

高齢者でも出来る漁業「海ぶどう」

竹原市の芸南漁業協同組合。組合員の平均年齢は70歳近くになる。この組合が高齢者でも出来る漁業として、5年前から取り組んでいるのが、沖縄の名産品「海ぶどう」。

芸南漁業協同組合・福本悟組合長:
結構、年齢が高い人が多い。ここだったら“しけ”はないし、寒い冬でもここで仕事が出来ますので、(事業が)順調にいったら、ここで働いてもらえたら、年配の人が働いても大丈夫かなという考えもあった

水温の調整、日光の当て方、種を取って増やしていく作業。
全てがゼロからのスタートだった。

芸南漁業協同組合・福本悟組合長:
ネットに植えるタネを確保するのが大変だった。タネとは普通の海ぶどうを植えるのですが、こういう海ぶどうの筋を取ったものを向こうの小さな水槽で管理して、ある程度したら、また、ネットに挟んで植え替えるようにする。

ーーーまず、タネを作らなければいけない?

芸南漁業協同組合・福本悟組合長:
そのタネを確保するのに、ほぼ2年かかった

そして、2019年7月。
ついに初出荷に漕ぎつけた。

しかし、ここで大きな問題が…。

「海ぶどうを竹原の新たな名産にしたい」

養殖には成功したものの、販売するためには販路を作らなければならない。
高齢化に悩む組合には大きな課題。

その解決に動いたのが竹原市役所だった。

「漁業の支援と『海ぶどう』を竹原の新たな名産にしたい」。
担当したのは、産業振興課の木原さんだった。

竹原市 産業振興課・木原昌伸係長:
ものを売るということをするとは思っていなかったので、市の職員になってですね。市内の飲食店さんもちょっと扱ってみようかというところがあって、そこに納品させてもらって料理に使ってもらったり、そういったところから、徐々に販路を広げていってもらました

ものを売るのは初めての経験。
周囲のスタッフに協力してもらいながらの営業と販売に奮闘する毎日。

竹原市産業振興課・木原昌伸さん:
沖縄で名産になっているのですが、竹原でも…

客:
どうやって食べるの?

竹原市産業振興課・木原昌伸さん:
ポン酢にちょっとつけてもらって食べてもらうような。あと、サラダに海藻みたいに使ってもらえれば

客:
洗って?

竹原市産業振興課・木原昌伸さん:
洗ってもいいし、このままでも大丈夫です

木原さんたちの努力が少しずつ実り始めていく。隣町、東広島市のスーパーマーケットが地元特産品のコーナーを作ってくれることになった。

担当するバイヤーの山下さん。

西條商事株式会社・山下勝課長代理:
正直、海ぶどうというのはマニアックなものなので、道の駅で売れているという話はもらっていたのですが、道の駅とスーパーではお客さんの求めるものが違うのでどうなるのかなというのは思ったのですが、とりあえず置いてみようかなと…。置いてよかったです。あとは世に広めて行くだけです。竹原産というのをもっと前面に押し出してもいいのかなというのはあるのですが、まだ、何となく弱い感じがあるので…

竹原の海ぶどう。
事業は生産から販売へ、次のステップを迎えている。

生産量の増加、流通コストの問題など、課題はまだまだあるが、企業と生産者と行政が一体となった新たな産業が生まれ始めている。

芸南漁業協同組合・福本悟組合長:
うちが成功したら、広島県の漁業者には、ある程度ノウハウやタネは分けてあげてもいいと思っている。より、皆が儲けてくれたらいいと思っている

竹原市産業振興課・木原昌伸さん:
海ぶどうが成功して、漁協の皆さん、漁業に関わる皆さんが幸せになっていただけるのが、市役所としての一番の役割かなと思っていますので、まだまだ、いくつもいくつも、ハードルがあるのですが、1つ1つ乗り越えさせていただければと思います

(テレビ新広島)