コメの価格高騰に歯止めがかかりません。家計を苦しめるだけでなく、「食べることもトレーニング」という高校生の部活動にも影響を及ぼしています。
屈強な男たちが体と体をぶつけ合い、威勢の良い声が道場に響きます。
倉敷市にある作陽学園高校柔道部。部員数35人。全国大会の常連校で、中国大会岡山県予選会の団体戦は20連覇中と県内敵なしの強豪校です。
しかし、そんな強豪校に今、ピンチが訪れています。
練習が終わったら、学校の敷地内にある食堂へ。夕食の時間です。食べることもトレーニングの一つの柔道部。炊飯器から山盛りのご飯をよそうかと思いきや・・・パックに詰められたご飯を1人3パックずつ取っていきます。
「いただきます」
こちらは、2007年に撮影した柔道部の夕食の風景。お茶碗には山盛りのご飯が!1食1キロのコメを食べるのが日常でした。
18年たった今、3パックで480グラム。当時と比べると半分以下に。令和の柔道部員は少食なのでしょうか?
(部員は…)
「3パックだと全然足りない」
「これ(パック)が6パックくらいほしい」
「今までは普通に「おかわり」していたが、急に(おかわりが)できなくなり、少なくなって寂しいけど、今までがありがたいことだったと思った」
一体、何があったのでしょうか・・・。
なんと、4月から1食当たりのコメの量が制限されたのです。これまで当たり前だった「おかわり」は禁止です。
理由は、コメの価格高騰です。農林水産省によりますと4月20日までの1週間に販売されたコメの平均価格は5キロ当たり税込みで4220円、16週連続の値上がりとなりました。2024年の同じ時期は2088円で2倍を超える高値が続いています。
(作陽学園高校柔道部 川野一道監督)
「競技のパフォーマンスを上げる時にコメを食べて体を大きくすることは必須。そういう中では非常に苦しい状況」
夕食も終わろうかという頃、柔道部員が運んできたのは炊飯器に入った大量のご飯。柔道部の現状を知った地域の人たちがコメを差し入れてくれたのです。
(作陽学園高校柔道部 川野一道監督)
「コメを提供してもらったり、焼き肉店やレストランに食事を提供してもらったりといろいろな形でバックアップしてもらっている」
どこの学校の部活動でも直面している問題。「ハングリー精神」だけでは強くなれない現状に気をもむ日が続きます。