山口・下関市の水族館「海響館」の大規模改修で、魚たちの引っ越し作業が行われた。300匹の魚を10時間かけて別の水槽へ移す大作業。特に鋭い歯を持つウツボの捕獲には緊張感が走ったが、スタッフの見事な作戦で移送が成功した。

水族館で魚の引っ越し作業に密着

山口・下関市にある水族館「海響館」で撮影されたのは、網で魚を捕まえて急いで運ぶスタッフの姿。

この日行われていたのは、大規模改修のために行われた魚の引っ越しだった。約10時間にわたる作業の舞台裏にカメラが密着した。

300匹もの魚が生息する「サンゴ礁水槽」
300匹もの魚が生息する「サンゴ礁水槽」
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「海響館」は2001年にオープンし、2024年9月から改修工事のため一時休館している。今回リニューアルするのは、約50種類・300匹の魚が生息する「サンゴ礁水槽」だ。

スタッフが対峙するのは鋭い牙がある「ウツボ」
スタッフが対峙するのは鋭い牙がある「ウツボ」

50トンもの水を抜いて全ての魚を引っ越しさせる必要があるが、1番の強敵となるのが鋭い歯を持つ“海のギャング”ことウツボだった。

プロジェクトリーダーである飯島卓也さんによれば「こっちが危害を加えると思って、噛もうとしてくるし、噛まれた時のダメージはすさまじい。確実に縫うケガにはなる」と語っている。

安全に移送するために作られた特性の麻酔銃
安全に移送するために作られた特性の麻酔銃

そのため、今回自作したのが特製の麻酔銃だった。銃口から麻酔液を出してウツボを眠らせ、その隙に運び出す作戦だった。

麻酔銃の考案者のスタッフによれば「近寄ってウツボの呼吸にあわせて吸うときに少し麻酔を出す」といったウツボの生態を利用した構造だという。

果たして、うまくいくのか注目が集まった。

特製麻酔銃でウツボ捕獲!魚の引っ越し完了

計画のもと、水槽へ潜ったスタッフがウツボに近づき、慎重に麻酔液を放出した。

ウツボを慎重に受け取るスタッフ
ウツボを慎重に受け取るスタッフ

そして眠ったウツボを抱えて泳ぎ、地上のスタッフへ受け渡すことができた。ウツボを受け取ったスタッフも「ようやったな!」と声をあげ、嬉しそうな様子だ。

しかし、魚に負担が少ない弱い麻酔を使用しているため、ウツボはいつ目を覚ますか分からない。そのため、地上スタッフは急いで別の水槽へ運び出した。

新居へ移ってきたウツボ
新居へ移ってきたウツボ

そして見事、海のギャングを眠らせる作戦が成功したのだった。

その後、縦横無尽に泳ぐチンアナゴや飛び跳ねて逃げる魚の捕獲に苦戦するも、無事、全ての魚の引っ越しが完了した。

期待が集まるリニューアルオープンは「夏」
期待が集まるリニューアルオープンは「夏」

リニューアルオープンは今年の夏の予定となっている。

プロジェクトリーダーである飯島卓也さんは「水槽の見栄えとか生き物の雰囲気も、結構変わるかなと思うので、リニューアルに期待してもらっていいかな」と話している。
(「イット!」 4月29日放送より)

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