宮城県岩沼市の海岸で殺害された保育士の女性の遺体が見つかった事件で、警察は21歳の知人の男を死体遺棄の疑いで逮捕した。男はキックボクシングに打ち込み、現場から直線距離で7㎞離れた場所に住んでいた。事件当日に何があったのか。男の足取りが少しずつ明らかになってきた。

送検される佐藤蓮真容疑者(21)
送検される佐藤蓮真容疑者(21)
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遺体発見から約2週間で大きな動き

事件の発覚から約2週間となる26日、宮城県警の宮澤伸育刑事部長を本部長とする事件の捜査本部は会見を開き、死体遺棄の疑いで岩沼市土ケ崎4丁目の職業不詳・佐藤蓮真(さとう・れんま)容疑者(21)を逮捕したと発表した。

捜査本部の会見(4月26日)
捜査本部の会見(4月26日)

この事件は4月13日、岩沼市下野郷の海岸で、仙台市太白区に住む保育士・行仕由佳(ぎょうじ・ゆか)さん(35)が胸などを刺されて殺害されているのが見つかったものだ。佐藤容疑者は12日午後7時40分から午後8時45分ごろまでの間に、行仕さんの遺体を遺棄した疑いを持たれている。

行仕さんの遺体が見つかった海岸
行仕さんの遺体が見つかった海岸

人目につかない海岸で何が…

現場は津波で被災した沿岸部。近くに住宅はなく、犯行時間帯に現場付近を撮影してみると、周囲に明かりがないため、ほとんど周囲の状況が見えないことが分かる。人目につかない場所で、2人に一体何があったのか。警察への取材で佐藤容疑者の足取りが、少しずつ明らかになってきた。

行仕さんの遺体が見つかった現場 夜は真っ暗になる
行仕さんの遺体が見つかった現場 夜は真っ暗になる

明らかになる足取り

遺体が発見される前日、12日の動きはこうだ。

4月12日の佐藤容疑者と行仕さんの足取り
4月12日の佐藤容疑者と行仕さんの足取り

午後7時ごろ、佐藤容疑者は行仕さんと複数回電話をしていた。行仕さんは同じ頃、一人で外出している。この電話をしていた時間帯に、佐藤容疑者は行仕さんの自宅近くを車で訪れていたことが捜査関係者への取材で判明している。
午後7時40分ごろ、一人でいる行仕さんの姿が岩沼市の海岸近くの防犯カメラに映る。警察はこの映像が、行仕さんの最後の生存確認としている。
約1時間後の午後8時45分ごろ、今度は佐藤容疑者が一人で車を運転する姿が防犯カメラに記録されていた。

行仕さん宅は現場と約14km離れている
行仕さん宅は現場と約14km離れている

行仕さんは容疑者の試合を観戦

キックボクシングの選手だったという佐藤容疑者。佐藤容疑者が所属するジムの関係者によると、行仕さんは佐藤容疑者の試合を観戦に訪れたことがあったという。

キックボクシングの選手だった佐藤容疑者
キックボクシングの選手だった佐藤容疑者

捜査関係者によると、佐藤容疑者は、過去にも行仕さんとSNSでメッセージをやり取りしていたが、調べに対し「行仕さんとは知人関係で、交際していない」と話しているという。

殺人容疑も視野に捜査

佐藤容疑者の認否は明らかにされていないが、佐藤容疑者は調べに対し、遺体が遺棄されていた現場に「過去に訪れたことがある」と供述しているという。警察は殺人の疑いも視野に事件の詳しい経緯を調べている。

警察は殺人容疑も視野に捜査している
警察は殺人容疑も視野に捜査している
仙台放送
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