不登校の小中学生が年々増えており、宮崎県内では2023年度に2500人を超えた。そんな中、不登校の中学生のための新たな学校、「学びの多様化学校」が宮崎市に開校した。宮崎県内では2校目だ。ひなた中学校の昼間部として開校したこの学校には、中学1年生から3年生の46人が入学した。生徒たちは希望を胸に新しい一歩を踏み出した。

不登校の児童・生徒の数が増加している。宮崎県内では2017年度1074人だったが、コロナ禍を経て増え続け、2023年度は2623人と2.4倍になっている。宮崎市内だけでも1100人を超えている。
こうした状況のなか、全国で設置の動きが広がっているのが「学びの多様化学校」と呼ばれる学校へ行けない児童・生徒のための学校だ。
中学生46人が「学びの多様化学校」に入校

4月23日、中学生を対象にした県内2校目の「学びの多様化学校」が宮崎市の市教育情報研修センター内にある夜間中学「宮崎市立ひなた中学校」の昼間部として開校した。入学・転入したのは、中学1年生から3年生の46人。

式では、宮崎市の清山知憲市長が「学校に来ることができるだけでも素晴らしいことです。先生たちと一緒に、ひなた中学校を盛り上げてください。」と挨拶。

初代校長の渡会洋一校長は、「本校の教育目標は、多様性を尊重すること、そして自分の生き方に希望や誇りを持つこと。どうか学力をつけることを諦めないでください。どうかやり遂げることを諦めないでください。」と、生徒たちに語り掛けた。

学びの多様化学校は、学校に登校できていない子どもたちに新たな学びの場を確保しようと国が設置を進めている。2024年度は全国で35校だったが、2025年度は23校増え、全国で58校となった。県内では延岡市に続いて2校目だ。

学びの多様化学校の開校にあたり、新しい教室もできた。生徒がリラックスできる居心地のよい空間や、自分のペースで学習することができるよう個別のブースがある。

2024年12月に開かれた学校説明会には、生徒や保護者などおよそ200人が参加。その後、個別面談を経てこの4月から46人がこの学校で学ぶことになった。
転入生たちは
転入生 3年生:
最初は緊張したり不安もあったけど、来てみたらみんな優しくて安心した。学校に行けるきっかけになりそう。勉強や友達も作って、高校に行けるよう生活したい。
転入生 2年生:
前の学校も行きたかったけど行けなかったから、行けると思うとすごくうれしい。ほかの不登校の人たちも来られる楽しい学校になってほしい。
学校では早速23日から授業が始まり、生徒たちは新たな一歩を踏み出した。
一般的な中学校よりもゆとりを持たせている

学びの多様化学校は、文部科学省の指定を受け、不登校の児童・生徒が学習指導要領の内容などにとらわれず柔軟に教育課程を編成できる学校のことだ。

「ひなた中学校」昼間部では、基本的に1日4時間授業。中学生の標準授業時間1015時間に対し770時間と、ゆとりを持たせている。2025年度の入学者は、2・3年生は希望者全員を受け入れることができたが、新1年生は応募が多く、29人の中から抽選で15人が入学することになった。入学できなかった生徒には学びの多様化学校以外の支援を提供していくということだ。
(テレビ宮崎)