食卓を直撃しているコメの価格高騰。4月13日までの1週間で、全国のスーパーで販売された米の平均価格は、5キロあたり4217円と15週連続で値上がりし、前年同時期と比べ、2倍以上の高値となっている。国が備蓄米を放出しても高値が続くコメ。手頃な価格で買えるようになるのは、いつになるのだろうか。

米屋にコメなく“閉店状態”

福岡市内にある米穀店。平日の日中にもかかわらず、シャッターは閉まったままだ。「商品置き場だったので、ある程度、白米を置いていが、今のところ売るコメがないので店を閉めている状態」と話す『四十川米穀店』会長の手塚理士さん。

四十川米穀店(福岡市)
四十川米穀店(福岡市)
この記事の画像(12枚)

記者が、2024年8月に訪れた際は、いたる所にコメ袋が積まれていたが、今は棚に隙間が目立つ。仕入れ価格が上っただけでなく、2025年に入り、入荷さえままならならず、遂に、営業の縮小を決断したという。

店にある玄米の在庫は、約6トン。通常1カ月に販売する量の半分ほどしかない。今は、伝手を頼りに生産者を回ってコメを集め、付き合いの長い取引き先に限り、販売を続けている。

「生産者の所に行っても数量が集まらない。業者間の売買になると、過去の倍の価格。父の時代からのお客さんを困らせるので、そこはどうしても…」と手塚さんも頭を抱える。

輸入米も含めて流通量の増加が必要

店に十分な量の米が入ってくるのは、新米が出回る10月ごろの見通しだ。コメ屋なのに、コメが手に入らない。手塚会長は、備蓄米や外国からの輸入を一時的に増やすなどして、コメの流通量を増やす必要性を訴える。

「1カ月分の消費量75万トンくらいは、一度に放出し、『買いだめ』と言ったら語弊があるかもしれないが、そういう人達にプレッシャーをかけるというか…。毎月20万トンずつ出すとかいうのは、遅きに失すると言ったら大臣に申し訳ないかもしれないが、それは実際のところ、現場を知らない人が言っていること」。

早く多く収穫を 田植え早める農家

こうした状況の中、福岡県内の米どころでは、例年より早い田植えが始まっている。「この辺では、1番早い8月の終わりくらいに収穫する。全体的に田植えが早まっています」と話すのは、福岡・築上町のコメ農家。築上町では、福岡生まれの米、「夢つくし」の田植えが、例年より早く始まっていた。

築上町の育苗センターでは、田植えが本格化するのを前に、水稲の苗を作る育苗の播種機(種まき機)がフル稼働。苗作りがピークを迎えている。

築上町など、2市5町(行橋市・豊前市・苅田町・みやこ町・築上町・上毛町・吉富町)を管轄するJA福岡京築によると、2024年は、猛暑の影響でコメの収穫量が2割ほど減少したため、2025年は、夏の暑さの影響を考慮し、4月から田植えを行う生産者が増加。また飼料用から主食用の米に切り替えるところも多く、生産者からの苗の発注が増えているという。

できるだけ早く、そして、できるだけ多く収穫できるよう動き出している生産者たち。コメの収穫量が増えれば、価格の安定に繋がるとして、JA側も生産者の支援に力を入れたいとしている。

「福岡京築全体で、5000ヘクタールほどの水稲作付面積があり、福岡県内全体の10%を占めている。流通量が増えれば、消費者に届く時の米の価格にも少なからず寄与することができるのではないかと思っている」とJA福岡京築 椎田アグリセンターの出口真輔さんは期待を寄せる。

長年にわたる政府の減反政策で、衰退の一途を辿った日本の農業。消費者が手に取りやすい価格で、十分な量を生産できるのか。順調な稲の生育が待たれる。

(テレビ西日本)

テレビ西日本
テレビ西日本

山口・福岡の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。