仙台空港と香港を結ぶグレーターベイ航空が2025年5月、週4往復から週3往復に減便することを決めた。グレーターベイ航空によると、「7月に日本で大地震が起こる」といううわさが香港で広まり、利用客が減少していることが理由だという。宮城県知事は4月23日、定例会見でこの対応について聞かれると、「由々しき問題」と非科学的な言説に振り回されないよう呼びかけた。

減便を決めたグレーターベイ航空
減便を決めたグレーターベイ航空
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「非科学的」香港で広がるうわさ

「かなり非科学的な根拠で、それがSNSによって広がっていって観光面で影響が出てくるのは由々しき問題だと思っています」
宮城県の村井嘉浩知事は定例の記者会見でグレーターベイ航空の減便について問われると、厳しい表情でこう答えた。

村井知事の定例会見(4月23日)
村井知事の定例会見(4月23日)

グレーターベイ航空は香港の格安航空会社で、去年12月、13年ぶりに仙台空港で週4往復の定期便を復活したばかりだった。再開から半年も経たない5月13日から、週3往復に減便するという。その理由というのが香港で広がる、あるうわさだ。

航空会社が説明「99%が信じるうわさ」

グレーターベイ航空の伊藤弘輝日本支社長は、減便の理由となったうわさについて、こう説明する。
「日本において大きな地震とか津波、火山の噴火があるという、うわさが流布されておりまして。香港人および日本人の多くに聞いたところ、100%の香港人がこの話を知っていて、99%の人間がそれを信じていると。日本への渡航は極力避けようとする風潮になっています」

香港で広がるうわさが減便の理由だという
香港で広がるうわさが減便の理由だという

うわさの発端は一冊の本

うわさの発端となったのが、漫画家・たつき諒さんの「私が見た未来」だ。1999年に刊行され、「2011年の東日本大震災を予言していた」と話題になった。
本の中で筆者は「2025年7月に大地震が起きる夢を見た」とも記している。これがインターネットを通じて香港の人たちの間でうわさとして広がり、実際に日本に渡航するのを控える動きが出ているというのだ。

うわさの発端となったとされる「私が見た未来」(たつき諒さん著)
うわさの発端となったとされる「私が見た未来」(たつき諒さん著)

航空会社も無視できない影響

グレーターベイ航空によると、うわさは無視できない広がりを見せている。今年2月ごろから利用客が減り始め、現在の予約数は見込みより3割も減っているという。

伊藤日本支社長は、「一般私企業の航空会社としては損失を大きく増やすわけにはいかない。ただし路線の維持を最優先に考えていくとした場合、マイナス路線を一つでも減らしていくという判断のもとに週1便減便するに至りました」と判断の理由を説明する。

歓迎を受けるグレーターベイ航空の利用客
歓迎を受けるグレーターベイ航空の利用客

断言できない難しさと“ずるさ”

仙台市内で聞いてみると、「うのみにし過ぎるのは良くないので、フィクションはフィクション。リアルはリアルで切り分けるのが大事」という声がある一方、「(本の内容に)近しいものがニュースで出ていると、夢だとしてもあり得るのかなと思ってしまう」という声もあった。

仙台市民からも“不安”の声が…
仙台市民からも“不安”の声が…

「大地震はない」と断言できないことが、うわさの難しさであり、“ずるさ”だ。村井知事は、非科学的なうわさに惑わされず、冷静に対応してほしいと呼びかけている。

仙台放送
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