4月12日夜、広島・府中町の水分峡(みくまりきょう)森林公園で、東京都練馬区の会社員・里見誠さん(52)が何者かに硬いもので複数回殴られ殺害された事件。発生から1週間以上たっても犯人逮捕に至っていない。

森林公園周辺で「夜の検問」続く

事件翌日から毎日行われている「夜の検問」。警察は、事件当日の午後9時~11時ごろまでの間に不審な人物を見かけたかなどの情報提供を求めている。事件発生から1週間となった19日夜も、停車中の運転手が警察に応じていた。

検問を行う広島東警察署の警察官
検問を行う広島東警察署の警察官
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「こんばんは広島東警察署です。初めて来ますか?」
「普段、ここは通らん」
「殺人事件の関係で、1週間前のだいたいこの時間なんですよ。この時間に通ってないですかね?」
「先週の土曜日の夜、通ってないですね」
「通ってないですか…」

夜間は自動販売機の照明が頼りの公園管理棟
夜間は自動販売機の照明が頼りの公園管理棟

夜10時ごろの水分峡森林公園。4月12日のこの時間に事件は起きた。ぽつりぽつりと数十メートル間隔で設置された街灯が、狭い範囲をぼやっと照らしている。

水分峡森林公園はJR広島駅から車で約10分の距離にあり、自然の渓谷を生かした緑豊かな憩いの場。無料のキャンプ場も備え、広島市内から近場のレジャースポットだ。日中は新緑がまぶしい季節だが、事件のあった午後10時ごろになると辺りは真っ暗で人通りもない。閑散とした状況の中、犯行があったとみられている。

防犯カメラが少ない場所での犯行

事件翌日の朝、現場を見たという人の話によると、公園の管理事務所の入り口付近に1メートル四方にわたって血が広がっていたということだ。現場周辺に血痕などは見当たらなかったが、事務所周辺の植え込みの隙間まで捜査員が入念に確認している。

事件現場から報告する竹内研二記者
事件現場から報告する竹内研二記者

公園を訪れた人たちは「すっきりせんよね。早く解決してほしい」「すぐ捕まると思ったら、やっぱりカメラが少ないんだね」と表情を雲らせた。

捜査のカギとなるのが防犯カメラやドライブレコーダーの映像をつなぎ合わせて犯人の足取りを追う「リレー捜査」。現場から1キロ以内の自宅に防犯カメラを設置し、事件翌日に警察から話を聞かれたという女性は「上の方(現場近く)は防犯カメラが少ないので、だんだん下りて捜索していると言っていた」と話す。

SNSから被害者の交友関係を調査

捜査から見えてきたことは何か?
事件発生1週間で明らかになった点、わかっていない点を整理する。

【判明していること】
●被害者の身元
東京都練馬区 里見誠さん(52)
→事件直前に新幹線で広島に来たか
●死因「外傷性ショック」
硬いもので頭・顔を複数回殴られた
●若い男女グループが関与した可能性
複数の防犯カメラに被害者と一緒に映る

警察は、事件に関与した疑いのある複数の若い男女の中に現場に詳しい人物がいるとみて、犯人が県外に逃走している可能性も含めて捜査を続けている。
一方で、わかっていないことも多く残っている。

【不明なこと】
●被害者が広島に来た理由
●凶器は何か?
●森林公園までの移動手段
●男女グループとの関係性

事件後、約20件の情報が寄せられいて、一刻も早い犯人確保が求められる。警察は、SNSなどから里見さんの交友関係を調べるとともに、現場付近の防犯カメラの映像の解析を進めるなどして、逃げた犯人の行方を追っている。

(テレビ新広島)

テレビ新広島
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