北海道の知床沖で26人が死亡・行方不明になった観光船の沈没事故から23日で3年。全国に波紋を広げた知床沖の事故は、遠く離れた坂井市の景勝地、東尋坊の観光遊覧船にも影を落としました。大型連休を前に、東尋坊では、安全安心の行楽に向け備えを進めています。
田島嘉晃アナウンサー:
「知床半島沖で発生した観光船の沈没事故からまもなく3年です。時間が流れ東尋坊の遊覧船の風評被害はなくなったということです」
22日、大型連休を前に福井海上保安署が行った東尋坊の観光遊覧船の安全点検では、海上保安官6人が救命胴衣や浮き輪など緊急時の救命設備を確認したり、運航に必要となる書類の点検を行ったりしました。
福井海上保安署・宮内貴史次長:
「救命設備などを点検した結果は良好。数もそろっているし状態も良かった。(観光客に)東尋坊の絶景を楽しんでもらえるように安全第一で運航してもらいたい」
東尋坊観光遊覧船の岩本大代表取締役は「東尋坊観光遊覧船は50年間無事故。それは日々の覚悟の積み重ね。知床沖の事故を教訓としてこれから同じ過ちを繰り返さないように、おごりなく慎重に誠実に安全運航に努めていきたい」と強調しました。
3年前の春、知床半島沖で発生した観光船KAZUー1の沈没事故では、乗客26人のうち20人が命を落とし6人はいまも行方不明のままです。その直後、東尋坊の観光遊覧船にも風評被害が及び、利用客はコロナ前より3割減少しました。
しかし、2023年は、新型のコロナが5類に移行したこともありコロナ前の水準に復活。さらに2024年は新幹線効果も相まって数字を伸ばしました。
22日に東京から訪れた乗客は「知床沖の事故で行方不明の人がいるのはいつまでも心に残る。事故は深く頭に入っている。事故のことは頭によぎる」と不安を口にします。一方で神奈川から来た人は「この辺りだったら波の次第で大丈夫かなと思った。一度遊覧船に乗ってみたかったので良かった。安心して乗っている。みんな気をつけていると思うし、救命胴衣の説明も、どこの遊覧船もしてくれるので」と話します。
この3年間、運航会社はSNSを使って安全を訴え続けてきました。東尋坊観光遊覧船
では、「今の時代SNSの広告が結構、効率が良いので、エックスやインスタグラムに力を入れている」としています。
風評被害を乗り越えた東尋坊観光遊覧船では、書き入れ時のゴールデンウィークの集客に大きな期待を寄せています。
岩本代表取締役は「ウェブサイト上で買える乗船チケットのデータで、関東圏の客が例年より増えていたので新幹線効果が見られる。従来は客の10%が関東圏からだったが、20%を超えるような形になっている(ゴールデンウィークは)1年を通して一番客を迎える大事な時期になるので、一人一人楽しんでもらえるようにしていきたい」と力を込めます。
安心安全の運航へ。新幹線開業効果も追い風に、2025年も多くの観光客を迎える準備を進めています。