京都大学の林野火災の専門家が、2月26日に発生した大規模な山林火災の鎮火後、初めて岩手県大船渡市に調査に入りました。
山林の焼け跡から樹冠火と呼ばれる現象が大規模に発生し急速に火災が拡大したと分析しています。

京都大学の峠嘉哉特定准教授は今回の火災の鎮火を受けて、4月20日までの6日間、大船渡市に入り焼けた山林の調査を行いました。

三陸町綾里の小路地区ではある現象の跡を確認しました。

京都大学 防災研究所 峠嘉哉特定准教授
「明らかに葉っぱは焼失しているのと、幹についた焦げ目も完全に上の方までいっていますので、そういった点から樹冠火だろうと思う」

木の全体が燃える「樹冠火」は葉から葉へと燃え移り延焼の速度が速いのが特徴です。

今回の火災は赤崎町合足地区で発生した後、近くの綾里小路地区に延焼、そこで大規模な樹冠火が発生したことで、火災は急速に拡大したと峠准教授はみています。

京都大学 防災研究所 峠嘉哉特定准教授
「合足で出火したものが(小路地区の)八ヶ森の斜面に延焼してそこで生じた樹冠火によって速い延焼速度で尾根を越えて綾里の方に向かってしまった。延焼速度も今までの事例と比べて非常に速いものだったとはっきり言えると思う」

また峠准教授は「地域によっては火災の影響で土砂災害などのリスク高まるおそれあるが、まずはハザードマップの確認を確認してほしい」と呼びかけています。

京都大学 防災研究所 峠嘉哉特定准教授
「(延焼で木が)枯死したことで倒木するリスクや、部分的には土砂災害のリスクがあるところもあると思う。現段階では行政が調査しているところなので、その結果を冷静に待つことも必要だと思う。基本的には元々危なかったところがより危なくなるような変化だと考えているので、今住む場所が危険なところかどうかを今一度ハザードマップで確認することが必要」

そして今後の森林の復興に向けてはかなりの時間や労力がかかる現実に向き合わなければならないと語ります。

京都大学 防災研究所 峠嘉哉特定准教授
「燃えたところを切って植林してという作業はたちまち全部一気にやるのは当然難しい。優先順位を付けてやっていく必要がある。3370haの延焼範囲に対してやるという途方もない作業をこれからしなければならない。復興がこれから大事だということを私は強く感じている」

今回の火災をめぐっては先週、林野庁も小路地区で大規模な樹冠火が発生したとみられるとの見解を示しています。

岩手めんこいテレビ
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