高齢者向け「プラチナNISA」創設が議論されている。毎月分配金を受け取れる仕組みだが、元本取り崩しの懸念もある。既存NISAは18歳以上の4人に1人が開設し、若者利用が中心だ。70〜80代からは「リスクは無理」と慎重な声も多い。
高齢者投資促す「プラチナNISA」創設検討へ
少しの金額から気軽に投資を始められるようにとスタートした「NISA」。若い世代の利用が増加しているが、金融庁は高齢者の利用を促進するための新しいNISAを検討している。

16日のテーマは「プラチナNISA、メリット・デメリットは?ソレってどうなの?」だ。
現在創設が検討されているのは、高齢者向けの「プラチナNISA」だ。NISAは、少額の投資で得られる利益を非課税にする制度だ。家計の資産形成を支援することを目的にしている。
現在、口座数は2560万以上(2024年12月末時点)で、実に18歳以上の4人に1人が開設している計算になる。長期の積み立て投資を前提とした制度のため、利用者は若い世代が中心だ。そのため、高齢者にも使いやすい制度にするよう求める声が、自民党や証券界から上がっていた。

16日午後3時半頃、国民の投資を推奨してきた岸田前首相が、会長を務める資産運用立国議員連盟の総会で挨拶した。
岸田前首相:
若者や高齢者を含めた全世代を対象としたNISA。様々なテーマに皆さんの意見を踏まえて、提言に盛り込むべく、たたき台を作らせていただいた。
プラチナNISAをやってみたいと思うか、街で聴いてみると…。
80代:
もう年だからやらないよ。積み立てできないじゃない。やる必要もない。先が短いから。80歳超えてんだから無理よ。

このプラチナNISA、若者中心のこれまでの物とは少し違う。大きな違いは、投資信託の運用で得られた利益の一部を毎月支払う「毎月分配型」であることだ。
例えば、元本10万円でスタートしたとする。運用が順調にいき、利益が出た場合、利益分から分配金が支払われる。運用が低迷した場合でも分配金は支払われるが、元本の一部が取り崩される事になる。
対象になる高齢者のみなさんに話を聞いた。
70代:
聞いたことはあるが、興味が無い。この年になるとリスクは背負いたくない。(お金が)たくさん入ってくるのをそこまで期待してない。
60代:
「手数料がかかる」とネットに書いてあった。「結局手数料かかるのね」って、どこまでいいか分からない。説明を聞かないとなかなか手を出せない。
毎月定額受け取れるメリットも…元本取り崩しの懸念
青井キャスター:
パックン、プラチナNISAはどうでしょうか?

SPキャスターパックン:
自分の老後資金を自分で投資して確保するのは、アメリカ的な考え方で大賛成です。NISAを使って税控除を受けられるのも大好きです。ただ、税収が減る分、そもそも投資できていない方に対する公的ケアが減らないと良いなと思います。
青井キャスター:
そんな中、たとえ少額だったとしても投資という言葉を聞くと不安がある方もいますよね。ファイナンシャルプランナーでもあるフジテレビの智田裕一解説副委員長に聞きました。
智田裕一解説副委員長:
運用を続けながら、毎月こまめに決まった額を手にできるというのが、最大の特徴でメリットになります。デメリットは、トランプ関税で株価が落ち込んでいる時など値上がり益が出ずに元本を切り崩して(分配金が)支払われている場合もあり、長期的な資産形成にはつながりにくいというケースもあります。

青井キャスター:
政府が分配型のプラチナNISAをスタートさせる狙いは、どこにあるのでしょうか。智田解説副委員長は、こう指摘します。
智田裕一解説副委員長:
年金に頼る高齢者の間で「決まった額の分配金を毎月の生活費に充てたい」というニーズが強いという点が考慮されました。また、高齢者が持っている貯蓄を投資に回してもらい貯蓄から投資への流れを一層促進しようという狙いも見て取れます。
青井キャスター:
金融庁は分配型のNISAについて、2026年度の税制改正の要望に盛り込みたい考えです。
老後の生活を支える大切な資産は、メリットもデメリットもあることを理解して判断する必要がありそうだ。
(「イット!」4月16日放送より)