アメリカ・ハーバード大学は14日、トランプ政権から出された学生デモ取締強化と多様性廃止の要求を「私立大学の価値観を脅かすものだ」と拒否した。

教育省は約3200億円の助成金と契約を凍結し、トランプ大統領は免税資格取り消しも示唆するなど対立がエスカレートしている。

ハーバード大学が要求拒否…助成金を凍結

アメリカの教育省はハーバード大学に対し、約3200億円の助成金を凍結すると発表した。

トランプ政権は、ガザ情勢でイスラエルに抗議する学生への対応などをめぐり、全米の名門大学を中心に学生の取り締まり強化や多様性を重視する取り組みの廃止などを求めていた。

この記事の画像(12枚)

しかし、ハーバード大学は14日「要求は政府の権限を越え、私立大学の価値観を脅かすものだ」として要求を拒否した。

これを受け、教育省はハーバード大学への助成金と契約合わせて22億6000万ドル、日本円で3200億円以上を凍結すると発表した。

トランプ大統領は15日、自身のSNSに「ハーバード大学の免税資格を取り消し、政治団体として課税すべきかもしれない」と投稿した。

学問の自由守る姿勢にメディアから“称賛の声”

イット!のスタジオではハーバード出身のパックンに話を聞いた

青井実キャスター:
今回のハーバード大学の対応というのは、どのように感じましたか?

SPキャスターパックン:
正直、僕はこのニュースを見て喜びました。コロンビア大学は似たような要求をつきつけられて、ほとんど受け入れたんですね。ハーバード大学は戦うことにしたんです。入学の審査、人事、教授の思想、カリキュラムとか、口出ししちゃいけないところまで口出ししていることに対して、やっぱり反発してくれて嬉しかったです。

ハーバード大学の卒業生(中退含む)
ハーバード大学の卒業生(中退含む)

青井キャスター:
トランプ政権に反旗を翻したハーバード大学は、世界的に本当に有名な大学です。1636年創立のアメリカ最古の大学で、2025年の「THE世界大学ランキング」は3位ということです。

卒業生は(中退も含め)、例えば第35代大統領のジョン・F・ケネディさん、第43代大統領のジョージ・W・ブッシュさん、そしてマイクロソフト創業者のビル・ゲイツさん(中退)、meta社CEOのマーク・ザッカーバーグさん(中退)、俳優のナタリー・ポートマンさんやトミー・リー・ジョーンズさんもいらっしゃいます。その中にパトリック・ハーランさんもいるということで、パックンの母校でもあるわけですよね。

宮司キャスター:
そもそものきっかけになったのが、アメリカの各大学で相次いだガザ情勢をめぐるイスラエルへの抗議デモでした。これに関連して、一部でユダヤ人学生が嫌がらせを受けるといったことがあったということで、これを受けてトランプ政権が助成金の条件として学生の取り締まり強化などを要求していたと言うことです。

青井キャスター:
アメリカメディアは、どう報じているんですか?

SPキャスターパックン:
ほとんどのメディアは褒めてるんです。トランプ政権は、大型の法律事務所とかメディアの機関とかに対して同じような圧力をかけていました。コロンビア大学も教育内容の見直しを行うなど、ほとんど妥協していたのですが、ハーバードは違います。そんな法的な手続きもせずに、独断と偏見で押し付けられても我々はのめませんと。政権の権力乱用に対する抵抗勢力になってくれたのは、ほとんどのところは褒めています。

青井キャスター:
ハーバード大学の対応を褒めているってことですね。海外メディアによると全米60の大学が調査対象になっているということで、この辺がどうなっていくかということですね?

宮司キャスター:
もちろん日本人の留学生の方々も、希望している人もいると思います。多様性の廃止ということであれば、入れないんじゃないかと、そういう心配をされてる人もいると思うんですが、その辺は、どうなっていくのでしょうか?

SPキャスターパックン:
日本だけではなく、各国の留学生は今アメリカを見て結構心配になっているようなんです。この多様性廃止、自分の勉強したいことも勉強させてもらえないかもしれませんし、また移民の取り締まりとして、大学生も手続きなしで強制送還するケースも今結構話題になってるんですが、日本の場合はそれがあまり心配ないと思います。

ただ、これからトランプ政権が他の大学に対してどれくらい圧力をかけるのかという疑問に対しては、僕はそこまで心配ないかなと思うんですよ。なぜなら、ハーバードはダントツ一番目立つところでもありまして、リベラルのイメージが強いからです。トランプ政権はハーバードをやっつけたい、ハーバードと戦いたい、同じことを他の大学に対してやるかといったら、僕はやらないかなと思います。

青井キャスター:
トランプ政権になって、この大学が揺れているというニュースは、これは注目していかなきゃいけないニュースですよね。

SPキャスターパックン:
間違いないです。他にも情報を統制するとか、メディアに対する制限を強化するとか、そういう心配な動きが多いです。アメリカは独裁政権ではなく民主主義国家で、情報もメディアも大学の教育も全て自由のまま守ってもらいたいです。
(「イット!」4月16日放送より)

この記事に載せきれなかった画像を一覧でご覧いただけます。 ギャラリーページはこちら(12枚)