愛知県大口町のごみ処理施設で2025年4月、火災が発生し、リチウムイオン電池の発火が原因とみられています。リチウムイオン電池が原因とみられる火災は過去にも起きていて、処分する方法には注意が必要です。

■ごみ処理施設で火災発生 再開の目途立たず

愛知県大口町のごみ処理施設「江南丹羽環境管理組合環境美化センター」は、可燃ごみや粗大ごみ、廃プラスチックの処理をする施設です。

この施設で2025年4月14日、火災が発生しました。リチウムイオン電池の発火が原因とされています。

この記事の画像(8枚)

搬入された廃プラスチックを破砕機で小さく圧縮する過程で、ゴミの一部から出火。本来入っていてはいけない、リチウムイオン電池を使った製品が混ざっていたとみられています。

江南丹羽環境管理組合の担当者:
監視員がモニターで見ていたところ、煙を確認しました。焦げるにおいが辺りに充満していました。

けが人はありませんでしたが、火事があったごみ処理施設は再開の目途が立っていません。

■増えるリチウムイオン電池関連の火災…国も通知

このように、家庭から出されたごみを収集する際や処理する施設などで、火災につながる過去にもありました。

6年前の2019年、愛知県一宮市のごみ処理施設では、不燃ごみとして捨てられたリチウムイオン電池が原因とみられる火事により、1年以上、不燃ごみを処理するラインが停止を余儀なくされました。

名古屋市消防局よると、リチウムイオン電池に関連した火災はこの5年で倍以上に増加したといいます。

こうした火災は各地で相次いでいて、浅尾慶一郎環境大臣は4月15日、「今後、市町村による分別回収、および適正処理をさらに徹底していく必要がある」と話し、家庭から出される不要になったすべてのリチウムイオン電池を、市町村が回収するよう通知を出しました。

■認知に課題か…各自治体で異なるリチウムイオン電池の回収法

環境省によると、全国でリチウムイオン電池の分別回収を行っているのは、75%の市区町村ですが、自治体によって回収方法など対応も分かれています。

街の人にも聞いてみました。

街の人ら:
捨てようと思って調べて、別に分けて捨てるのは知っています。

(捨て方は)正直全く知らないです。普通に不燃ごみとか、どこかのショップに売ったりとかしているので、全く知らなかったです。

ビニール袋に入れてポイッ。クリーンセンターに持っていくとか…。

名古屋市中区の、収集したゴミが置かれた事業所を訪ねました。

名古屋市環境局の担当者:
こういったものがリチウムイオンバッテリーにあたりまして、ゴミ収集の際に圧縮されると火災の原因になったりします。

膨張し、危険な状態のモバイルバッテリーがありました。

名古屋市によると、ほかのゴミに混ざったモバイルバッテリーを原因とした火災が、あるゴミ処理施設では年間40件以上も起きるなど、問題となっていたといいます。

そこで名古屋市は、2022年4年7月から、電池類の一括収集を始めていて、モバイルバッテリーも「電池類」として乾電池などと1つにまとめて捨てられるようになりました。

その結果、市民の分別への意識が向上し、モバイルバッテリーが原因の火災は、年間40件以上起きていた処理施設でも、2024年はわずか2件にまで減りました。

名古屋市環境局の担当者:
(回収は)本来であれば、生産者の方にもさらなる努力をお願いしたいところではございますが、市として車両火災や処理施設の発火事案がある中で、少しでも対策を打つことが市としての責任かなと。

■専門家指摘「可燃ごみにも絶対に入れないで」

専門家も、利用する市民の意識が重要と話します。

国立環境研究所の寺園淳上級主席研究員:
リチウムイオン電池は絶対に破砕してはいけないものですので、絶対にしちゃいけないものが入ることで、そこでは事故が起こる確率が出てくるわけです。不燃ごみ、粗大ごみ、プラスチックだけじゃなくて、可燃ごみにも絶対に入れないでください。

(東海テレビ)

東海テレビ
東海テレビ

岐阜・愛知・三重の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。