岐阜県からの福井の東の玄関口である国道158号が、3月18日に発生した大規模な土砂崩れにより一部区間で通行止めとなっている。発生から約1カ月が経つたが復旧のめどは立たず、行楽シーズンを前に来訪者が激減。地元は「死活問題」と危機感をあらわにしている。

国道158号で通行止めが続く区間
国道158号で通行止めが続く区間
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客足が半減し売り上げも4割減

中部縦貫道の荒島IC近くにある道の駅「越前おおの荒島の郷」では、国道158号の通行止めの影響で4月の来訪者数が大きく落ち込んでいる。中京圏からのアクセスが悪くなったため客が激減。通行止め前後の期間で前年比5割以上が減少し、売り上げも4割ほど減っているという。
     
支配人の網正樹さんは「道の駅まで行けるのかという問い合わせもきている」と話し、通行止めの区間があまり知れ渡っていないことも、客足が減った要因と推測している。
  

客足が半減し売り上げも4割減
客足が半減し売り上げも4割減

道の駅近くを通る中部縦貫道は、工事が難航し全線開通が3年延期となることが3月末に決まった。加えて158号が土砂崩れによる通行止めと、度重なる出来事に網支配人もショックを隠し切れない。「今年は大雪から始まり、長い冬が明けてようやく始まったところだったが…中部縦貫道が3年延期ということでテナントも気を落としていいる時に158号の通行止めが来て、どうしたらいいのかという店もある。本当に死活問題」と嘆く。
   
大野市民も「これから行楽シーズンで158号を通って岐阜方面に行く人も多いし、何とかならないかな。他に道がないので」「息子が静岡にいて、帰省するときに通るので不便」「(せっかく行楽シーズンなのに)大野がまたさびれてしまう」と現状を憂いていた。 
 

道の駅「越前おおの荒島の郷」の網支配人
道の駅「越前おおの荒島の郷」の網支配人

通行止め区間内には九頭竜湖が

18.5キロに及ぶ国道158号の通行止め区間内には、九頭竜湖がある。毎年ゴールデンウイーク前から9月頃にかけて、県の内外から多くの人が訪れる釣りスポットでもある。だが通行止めの影響で、中京圏からの釣り客を呼び込めないのが現状だ。
 
地元の奥越漁業協同組合によると、九頭竜湖の釣り客はヤマメ、イワナなどの遊魚券販売の半分を占める大事な収入源だという。藤原秀揮副組合長は「九頭竜ダム湖を生業(なりわい)にしているが自分たちもそこまで行けない状況だし、観光客は岐阜県から入ってこられない」と頭を抱える。

毎年、釣り客でにぎわう九頭竜湖
毎年、釣り客でにぎわう九頭竜湖

そこで漁協は「通行止めの場所を変え、九頭竜湖までは自由に来られるように」奥越土木事務所に要請。ゴールデンウイーク前までには通行止め区間が短縮され、九頭竜湖へのアクセスが可能になる見通し。近くには食事が楽しめるドライブインや湖畔でサップなどが楽しめるキャンプ場もある。

九頭竜湖ではサップも楽しめる
九頭竜湖ではサップも楽しめる

さらに、夏休み前までにはう回路が整備される予定だ。中京圏から九頭竜湖周辺への釣り客、キャンプ客の戻りが期待されている。
 
藤原副組合長は「これから九頭竜湖畔、和泉地区はサクラも咲いてきて、新緑の時期に向かう。現場の復旧は遅れると思うが、う回路が通れば岐阜県からも問題なく入って来られる」と期待を込めた。

通行止め区間の短縮やう回路設置が進められる
通行止め区間の短縮やう回路設置が進められる

福井県の杉本知事は「本復旧は年単位でかかる可能性がある」との見解を示していて、地元は夏休み前のう回路の設置に期待を込めている。

福井県の杉本達治知事
福井県の杉本達治知事
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福井テレビ
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