江戸時代にはどのようにコメを作っていたのかが分かる資料などを展示した企画展が、福井市の県立歴史博物館で開かれています。
昭和初期に県内の田んぼで使われていた足踏み水車ですが、実はこれと同じ構造のものが、すでに江戸時代にありました。
2024年は「令和の米騒動」といわれるコメ不足が起きましたが、この企画展は、日本人の食事に欠かせないコメについて改めて考えるきっかけにしてほしいと開かれました。会場には、江戸時代のコメ作りの様子が分かる絵馬や屏風といった資料が展示されています。
江戸時代のコメ作りの特徴は、大人数で行う、動物の力を借りる、そして、道具を使うことでした。
江戸時代に描かれた絵巻「四季耕作図」には当時のコメ作りの様子が細かく描かれていて、人が並んで田植えをする様子や道具を使って作業する様子などが見てとれます。中には雨乞いをする人たちの姿も。コメ作りに欠かせない水が足りず、神頼みをしている様子ですが、その表情は明るく、重労働だったものの人々がコメ作りに楽しみを見出していたことも伺えます。
また、江戸時代には農業技術をまとめた本「農書」が多数出版され、知識が広まり道具の改良も進みました。農書に掲載されていたものと同じ形や構造の道具が昭和に入っても使われていたことが分かります。
企画展は5月6日までで、19日には学芸員の講座も予定されています。