アメリカ・トランプ政権の関税政策をめぐって世界の株式市場は大きく混乱し、株価は乱高下しました。東京株式市場の日経平均株価の推移をみると、7日は過去3番目に大きい2644円の下落となった一方で、10日は過去2番目に大きい2894円の上昇となるなど、混乱しました。
 
週明けの14日、株価はほぼ全面高で終値は3万3982円と先週末から400円ほど上昇。市場は多少落ち着きを取り戻しましたが、トランプ政権の関税政策の先行きに警戒感は強いようです。県内のリアクションや気になる今後の見通しについて取材しました。
   
国内では、資産運用を貯蓄から投資へとシフトする流れが強まる中で起きた“トランプショック”。県民に話を聞くと「積み立てNISAをやっているが不安がある。今後どうなるか分からないので、しばらくはソワソワする」「影響は大きい。株も暴落したし今売る勇気はない。いずれ上がるかと期待している」「投資信託をしているが、めっちゃ減った。老後のために始めたのでそのまま触らずにいる」と不安の声が上がりました。
   
電子機器や半導体への関税発動の話も浮上する中、「慌ててアイフォンを買いました!関税で上がるかなと」「アイフォンの価格が上がるのではないか?とニュースで見たので買い替えるのはためらうかな」という反応も。
 
約9000人の顧客を持つ益茂証券では、東京株式市場が開く午前9時が近づくにつれ、客からの電話が続々と掛かってきていました。先週の株価の乱高下について投資家のリアクションを聞くとー
 
益茂証券本店営業一部・平田将次郎営業課長:
「大きく下げる場面があったので問い合わせが多くなった。ただ、去年の8月ほどではなかった。今後のトランプ大統領の動向を注視しようという冷静な判断が見られた」
 
2024年8月もアメリカの景気後退の懸念や政策金利の引き上げに伴い株価が乱高下し、東京株式市場の日経平均株価は1日で、過去最大となる4400円あまり下落しました。
 
平田営業課長は「投資家や市場に去年ほどの混乱はなかった」としたうえで「今週以降、株価の変動は徐々に落ち着くのでは」と予想しています。
 
ただ、トランプ政権の関税政策次第では再び市場が荒れる可能性もあり、引き続き注意が必要です。
 
益茂証券本店営業一部・平田将次郎営業課長:
「相互関税は90日間停止で先延ばししただけで問題が解決したわけではない。その他、半導体や薬品、木材などにセクター別の関税も検討されているようなので、また下落するなどの乱高下は想定される」
 
回復の見込みについて平田営業課長は「去年8月の大きい下落の時はすぐに回復したが、今回は関税の話が続いてる以上、簡単には戻らない。行ったり来たりを繰り返す展開だと思うので不安は大きくなると思うが、基本的には長期投資という考え方でみれば、絶好の買い場というつもりで長く持つのが良い。パニック売りはしないほうが良い」とします。
 
回復にはある程度時間が掛かるとし、長期的な目線での運用を勧めています。
   
改めて東京株式市場の日経平均株価の動向をみると、トランプ大統領が就任した日本時間の1月21日は3万9027円。その後徐々に値下がりしましたが、トランプ政権の関税政策のニュースが取り沙汰され始めた3月下旬頃から値下がり幅が大きくなり、7日には3万1136円と3カ月で8000円近く下がりました。率にして2割ほどの値下がりです。
そして先週は連日1000円を超える変動幅。世界同時株安が景気の後退を生む恐れもあり、しばらくはトランプ政権の関税政策に注視する展開が続きそうです。

福井テレビ
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