JALとTSKのコラボ企画。今回担当したのは、JALふるさと応援隊の今西彩友さんです。
今まさに桜が咲いている中、雲南市の「桜守」の男性を取材。美しい桜を保つための思いと桜にまつわる縁を聞きました。

桜の季節を迎えた雲南市木次町です。

JALふるさと応援隊・今西彩友さんが訪ねたのが、雲南市の桜守、石田侑男さんです。石田さんは72歳。雲南市では4代目の桜守で、2018年から務めています。

ソメイヨシノに河津桜、御衣黄など雲南市で見られる様々な桜が元気で長生きできるようその世話を一手に引き受けています。

JALふるさと応援隊・今西彩友さん:
桜守のお仕事はやはり開花の時期が一番お忙しいのですか?

雲南市 桜守・石田侑生さん:
色々な仕事が年間通じて毎日ある、忙しいですよ。花の咲いてる時がわりかし仕事が少ない時期かなと思います。

石田さんの仕事は、1年を通して休むことはありません。桜並木の草刈りに、土づくり…花の時期には開花情報を発信するのも桜守の役目。石田さんが一人でこなしています。そして今、石田さんがとりかかっているのが…。

雲南市 桜守・石田侑生さん:
これが笹部桜(ささべざくら)の枝先です。一番元気のいいところを取っていくんです。

ソメイヨシノより1週間ほど遅く開花する「笹部桜」の苗木づくりです。

雲南市 桜守・石田侑生さん:
これ笹部、これも同じ笹部です。向こうのピンクも笹部ですけど。雲南市木次町だけにしかないということだと思います。

笹部桜は、白とピンクが混ざったやさしい色合いの八重桜。花が開いてから散るまでの、色あいの移り変わりも楽しめます。

桜の通り抜けで知られる大阪造幣局の桜の管理を手がけた「伝説の桜守」。植物学者の笹部新太郎博士が、昭和30年代に生み出した桜です。

笹部桜は昭和50年代、桜の育成に積極的に取り組む全国の自治体に苗木が贈られ、島根県では旧木次町、現在の雲南市が選ばれ500本が植えられました。現在では、木次町内にある笹部桜は、約1200本になりました。
大島桜の苗木に笹部桜の枝を接ぎ木して苗を育てていきます。体験してみると…。

雲南市 桜守・石田侑生さん:
真ん中ではなくて端っこですね。皮と木の間に水が通っていきますんで。

細かく根気のいる作業。

雲南市 桜守・石田侑生さん:
難しいでしょ。

JALふるさと応援隊・今西彩友さん:
難しいです…。

この笹部桜、都市開発が進む大阪・梅田の「うめきた公園」に植樹する話が、笹部博士の母校である大阪・北野高校の卒業生の会から持ち上がります。大切にして増やしていた雲南市に白羽の矢が…。「成木で150本送ってほしい」と依頼がきますが、コスト面などから実現の目途はたちません。
その後、卒業生らは北野高校に植わる笹部桜を「うめきた公園」に移植することに方針を変え、現在は準備中だということです。

雲南市 桜守・石田侑生さん:
ここでもらって育てて、それが里帰りをすると…。

この計画だと北野高校の笹部桜が無くなることから、石田さんが作った笹部桜の苗木を北野高校に植えることになりました。2024年から始まり4年間で20本を植える計画です。

里帰りした笹部桜…笹部博士の母校でまた新しい年輪を刻みます。

JALふるさと応援隊・今西彩友さん:
ご自身が育てられた桜が、また生まれた場所に還っていくという形ですが、どのようなお気持ちですか。

雲南市 桜守・石田侑生さん:
我が子を出すような、そういうちょっと寂しいやら、嬉しいやら。育てた子どもが都会へ出て育っていく姿を今から見届けていきたいですね。

大切に守り育ててきた桜が新しい縁を結びました。これまで受け継がれて来た桜への想いと景観を次世代へ引き継ぐために。石田さんは、桜の季節が終わっても桜を守り続けます。

JALふるさと応援隊・今西彩友さん:
私は大阪出身で、中学時代は山陰地方に住んでおり、笹部桜とのご縁を感じました。
2年後に大阪で満開を迎える笹部桜を見に行きたいと思います。

TSKさんいん中央テレビ
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