6日から春の全国交通安全運動が始まる中、特に交通事故に注意が必要なのが子どもです。中でも通学や習い事などで行動範囲が一気に広がる小学校低学年は、最も事故に遭いやすいというデータがあります。子どもを事故から守る取り組みを取材しました。

春休み中の今、子どもが被害に遭う交通事故が相次いでいます。
1日には鳥取市で横断歩道を渡っていた9歳の男の子が、車にはねられ意識不明の重体に。さらに3月には、静岡県浜松市や兵庫県伊丹市などでも子どもが巻き込まれる交通事故が発生しました。
7日以降は多くの小学校で新学期を迎える中、特に気をつけたいのは小学校低学年の児童です。
警察庁が発表した過去5年間の交通事故のうち、歩行中の死傷者が最も多いのが小学1年と2年にあたる7歳。このことから「魔の7歳」とも呼ばれています。
なぜ7歳が最も多いのか…交通計画が専門の金沢大学の藤生慎教授に聞きました。

金沢大学・藤生慎教授:
どういう交通環境に自分が置かれているのかという理解が、まだ不十分。自分たちがどんな危険にさらされているのかという理解がまだ追いついてない。

小学校に入り、初めて1人で登下校するなど行動範囲が一気に広がる一方、交通ルールへの理解が深まっていないのが理由だといいます。

金沢大学・藤生慎教授:
1年生になって、その時に考えられることは本当に数限られていて、お友達と遊ぶとなると、『誰と公園で遊ぶんだ』など、それしか頭の中になくなってしまう。

「1人歩きデビュー」の時期には危険がたくさん潜んでいます。
これはドライブレコーダーの映像。左から子どもが飛び出してきます。低学年の子どもは、実際の交通状況を読み取る力や経験が浅いため、交通事故に巻き込まれやすいといいます。

こうした中、子どもたちを事故から守ろうと、藤生教授が交通安全活動に取り組む「こくみん共済 coop」と一緒に作成したのが「交通安全ハザードマップ」。
過去の事故の統計データや保護者などからの投稿から、歩行者が注意するべき場所を地図上に表記しています。

金沢大学・藤生慎教授:
どこが危ないのかというのは、なかなか常日頃、見ることがないと思う。なのでハザードマップを作って、みんなで見てもらって、どこが危ないのかを知っておく。

交通安全ハザードマップで「危ない場所」とされている松江市のポイントを田中記者が訪れました。

田中祐一朗記者:
松江市の城山西通りです。いまお昼の時間帯ですが、かなり交通量が多くなっています。

この付近の交差点で、交通安全パトロールをしている野津孝之さん。
小学生の登校時と下校時に合わせ交差点に立ち、児童の通学を見守っています。
野津さんによると、この付近はマンションが多く、子どもも多いことから毎朝約200人が通学路として行き交っているといいます。

野津孝之さん:
黄色だったら車は突っ込んでくる。直進車が停まっていることを確認しないと、横断歩道の歩行者用信号機が青になっても渡らせないようにしている。直進車が完全に停まってから渡すようにしている。

野津さんによると、信号の変わり目で交差点に進入する車も多いため、信号が変わり、左右の安全を確認してから道路を横断することが大事だと指摘します。

野津孝之さん:
歩行者信号が点滅になっても渡ろうとする、青になった瞬間に渡ろうとする小学1年生が一番危ない。

「こくみん共済 coop」の調査では、野津さんのような交通安全ボランティアの活動について約8割の回答者が肯定的に捉えていて、7歳の子どもを持つ親の86%以上が、この活動のおかげで「何も起きない毎日が続いている」と答えています。

金沢大学・藤生慎教授:
ドライバーもそうなんですけれども、地域の方々が声掛けをするとか、みんなであの地域を、交通安全を守っていかないといけないというのは、非常に重要なこと。

「魔の7歳」を交通事故から守るためには、ドライバーが子どもの行動特性を理解するとともに、地域ぐるみで安全な環境を整備することが大切です。

TSKさんいん中央テレビ
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