アメリカの経済誌「フォーブス」が世界長者番付を発表し、イーロン・マスク氏がトップに返り咲いた。日本人トップは柳井正氏。一方、番付700位のトランプ大統領は、トランスジェンダー選手の女子競技参加禁止など、トランスジェンダー排除政策を掲げている。
世界長者番付とトランプ政策をめぐる論争
アメリカの経済誌「フォーブス」が2025年版の世界長者番付を発表した。

世界で最も裕福な人物に選ばれたのは、トランプ政権で影響力を強める実業家のイーロン・マスク氏だ。保有資産は3420億ドル、日本円で約51兆円となり3年ぶりにトップに返り咲いた。
日本人のトップは、ユニクロを展開するファーストリテイリングの柳井正氏とその家族が30位で約451億ドル、日本円で約6兆7000億円だ。
そして、気になるトランプ大統領は51億ドルで700位に入った。世界屈指の富豪に選ばれる中、今トランプ大統領が掲げる政策を巡って大きな論争が巻き起こっている。

アメリカ・オレゴン州ポートランドで行われた高校の陸上競技大会でのことだ。
女子400mに出場していた選手がライバルを大きく引き離し、ぶっちぎりでゴール。その選手が、仲間とハイタッチをして勝利の喜びを分かち合った後、ようやく他の女子選手たちがゴールした。
圧倒的な強さで優勝した選手の記録は57.62秒。2位の選手とは7秒以上も差をつけていた。さらに200mでも優勝し、2冠に輝いた選手に向けられたのはブーイングだった。
トランスジェンダー選手の快走に賛否
現地メディアによるとライバルを圧倒した選手は、生まれた時の性別と性自認が異なるトランスジェンダーだという。

このレース動画がSNSで拡散されると「男性は女子スポーツに参加すべきではない」「他の女子選手が気の毒だ」「競技に参加するすべての選手の権利は守られるべき』と賛否の声が広がった。
オレゴン州の学校活動協会の指針では「生徒が主張する性自認に基づいて運動競技に参加することを許可する」としている。しかしアメリカの教育省は、この指針が「性別による差別を禁止する連邦法に違反している疑いがある」と指摘した。

その背景にあるのは、トランプ政権の政策だ。
トランプ氏は、トランスジェンダーの選手がスポーツの女子競技に参加することを禁止する大統領令に署名した。従わない学校などに対しては資金援助を打ち切るとしている。

トランプ政権が掲げるトランスジェンダーの排除に、ニューヨークではトランスジェンダーの人たちなど約400人が行進し、「トランスジェンダーは存在している」と抗議と権利を訴えた。集会の参加者は「恐怖心をあおり立て、反トランスジェンダーの法律を制定するのは、国民の注意をそらそうとしている」と話した。
トランプ政権のもと、多くの人々は危機感を強めている。
(「イット!」4月2日放送より)