三井住友銀行の跡地に、小学生向けの体験型学び施設「アトリエ・バンライ ITABASHI」が誕生した。金融教育や食育、夢に向かうワークショップなど、多彩なプログラムを提供する。専門家は、家庭や学校以外の居場所が子どもの自己肯定感を育むと評価している。

銀行跡地が子どもたちの居場所に…「体験」通して支える新施設へ

銀行の店舗が子どもたちの居場所へと変わり、体験という資産づくりを支援する。

銀行のATMコーナーの隣に広がる空間
銀行のATMコーナーの隣に広がる空間
この記事の画像(14枚)

福井慶仁記者:
よく見る銀行のATMコーナーの隣に、見慣れない空間が広がっています。

東京・板橋区に4月1日からオープンするのは、子どもたちの学びや体験を支援する施設「アトリエ・バンライ  ITABASHI」。

施設がオープンするのは三井住友銀行の出張所の跡地だ。

ここでは、約4000冊の本を読むことができるほか、金融教育やプログラミングなどのワークショップも行う。

こども家庭庁の調査によると、全国の学童利用者数は過去最高を更新する中、待機児童数は1万7686人で、そのうち高学年は9482人にのぼり、低学年よりもその数が多くなっている。

こういった背景などから、この施設の対象は小学4年生から6年生までになっている。三井住友フィナンシャルグループは、子どもたちの居場所を作り、ここで「体験という資産」を提供していきたいとしている。

司会:
スタートのお金5000円と書いて、自分の目標のお金・目標の仕事を書いてみましょう。

26日、オープンに先駆けて、区内の小学生を招待し体験会を開催した。子どもたちは、お金の使い方を自分で選択することで、目標金額を貯めたり、やりたい仕事を目指すプログラムを、ゲーム感覚で学んだ。

体験会に参加する児童
体験会に参加する児童

「Q. 夢のために習い事をするか悩んでいる。する?しない?」

児童:
(プロ)ゲーマーに習い事ってあるの?するしかない!

スタッフ:
レッスン代でマイナス1000円になったけど、夢ポイントが1貯まる。

子どもたちの学びや体験を支援する施設
子どもたちの学びや体験を支援する施設

さらに、こちらの施設では、こども食堂や、食育体験なども学ぶことができる。

三井住友 フィナンシャルグループ 執行役員 グループCSuO・髙梨雅之さん:
自分たちの好きなことだとか、得意なものをしっかり認識して、自分の人生を歩んでいく、こういうのが大事だと理解するようになった。ここに来ていろんな体験をして、子どもたちが夢を実現するために、邁進してもらえるといいなと思う。

施設は当面、板橋区内の一部の小学校の児童が対象で、今後は体験プログラムを増やし、区内全域に広げていく。

子どもの居場所と自己肯定感を育てる新たな環境

「Live News α」では、市場の分析や企業経営に詳しい経済アナリストの馬渕磨理子さんに話を聞いた。

堤礼実キャスター:
子どもたちの体験を増やす今回の取り組み、どうご覧になりますか。

経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
子どもにとって家庭と学校以外に、もう一つ居場所があることはとても重要です。今、放課後や学校が長期の休みに入ると、安心して過ごせる居場所を見つけることが難しくなっているんです。今回の試みは、子どもたちに居場所を作り、生きていく上で資産となる「体験」を提供するというものです。

堤キャスター:
無理に背伸びしたりせず、そのままの自分で居られる場所があるのは、とてもいいですよね。

経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
子どもの成長にとって自分は駄目ではないと自己を肯定することは、とても大切です。子ども家庭庁の調査によると、7割を超える子どもたちが家と学校以外に「ここに居たいと思う場所が欲しい」と答えています。さらに自分が居ても良いと思える場所や、相談できる人を多く持っている子どもは、自己肯定感が高いというデータもあります。今回のアトリエ・バンライは子どもの自己肯定感を育む場所になればと思います。

地域と連携し子ども支援で社会的価値を創出

堤キャスター:
今回、銀行が子どもたちの居場所づくりを始めた理由はなんなんでしょうか。

経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
企業は利益追求だけでなく、地域と共に成長する姿勢を投資家から求められています。SMBCグループも中期経営計画のなかで社会的価値の創造を経営の柱の一つに掲げていて、特に子どもの教育・体験格差の解消に取り組むことを強くコミットメントしています。アトリエ・バンライは子どもたちはもちろん、SMBCグループにとっても大切な場所になりそうです。

堤キャスター:
子どもの成長を促す場所や機会を広げていくために、企業が果たす役割も大きいかもしれませんね。

経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
アトリエ・バンライの大きな特徴の一つに、さまざまな企業や団体との連携があり、子どもたちに色々なプログラムが予定されています。次世代の育成という共通の目標に向かって企業がそれぞれの強みを活かした協力が進み、豊かな社会の実現に貢献していくことを期待したいです。

堤キャスター:
未来を担う子供たちにとって、好奇心を育む体験は欠かせないものですよね。その企業の特色や、さまざまなつながりを活かして、子どもたちの可能性を広げる場所になっていくことを期待したいです。
(「Live News α」3月26日放送分より)