引っ越し業者にとって年間で最も忙しい時期を迎えている。予約の殺到と価格高騰。国が呼びかける引っ越し時期の分散にはメリットとデメリット双方の見方があるが、“引っ越し事情”が以前より厳しいのは事実だ。

年間の3割集中 受け付け不可も

引っ越し業者が段ボール箱を続々とトラックに積み込む姿があちらこちらで見られる季節。業者にとって書き入れ時を迎える春だが、年間で最も忙しく厳しい時期だ。

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引っ越し作業がピークを迎えている佐賀市の日本通運佐賀物流センター。引っ越しの依頼が殺到し、連日、電話の対応に追われている。

事務所のカレンダーを見ると予約が殺到している現状が一目瞭然だ。3月下旬の多くの日が「受付STOP」の文字で赤く塗りつぶされている。

この業者では、年間の引っ越しの約3割が3月と4月に集中。2カ月で100件以上の予約が入るという。

日本通運佐賀物流センター 柿永浩志所長:
1年に1回の一番の稼ぎ時。従業員一同、一丸となってなんとか乗り切ろうとやっている

引っ越し料金も約3割上昇

パソコン画面を見ると約37万円との数字が目に入った。佐賀から熊本まで引っ越す4人家族の見積もりだ。

資材や燃料などの高騰で、引っ越し料金はここ数年で3割ほど高くなっているという。

苦労が絶えない“日程調整”

また、業者が作業できる日と引っ越す人の希望日が合わずに、引っ越し日の調整に苦労する人も多い。

転勤で熊本へ引っ越す人は:
第一希望だった日が(業者から)『ちょっとこの日は厳しいです…』みたいな感じもあって、お互いが予定を調整し合って…

国は引っ越し時期分散を呼びかけ

運送業界の人手不足などを受け、国は引っ越し時期の“分散”を呼びかけている。

しかし、人事異動の時期が決まっている企業も多く、分散への取り組みは進んでいないのが現状だ。

国が呼びかけているものの、引っ越しの分散については業者によってメリットとデメリット、双方の見方がある。

「物件選びの選択肢多いのは3月」

不動産会社の担当者は、物件選びの面では、3月は転居する人が多く“おすすめの時期”という。

駅前不動産佐賀西店 堤優太郎さん:
物件数が一番多いのがこの時期。選択肢を増やすとなるとこの時期。この時期だからこそ管理会社がキャンペーンをしたり(物件を)少し安くしたりという場合もあるので(分散がいいとは)一概には言い切れない

引っ越しの集中で物件が動き、物件を探す側にとっては選択肢が増えるメリットを不動産業者は指摘する。

「分散で料金安くサービス向上」

一方、引っ越し業者側は、ピーク時を避けることによって客側のメリットが大きくなるという。

日本通運佐賀物流センター 柿永浩志所長:
引っ越し商戦期の3~4月を避けていただければ料金も安くなるし、作業の品質も(アルバイト従業員が不要で)社員ばかりの作業なのでスピードも上がるし荷扱いも丁寧。メリットはたくさんあるかなと思います

業者によって引っ越し時期分散のメリットとデメリットについて見方が違う点があるものの、深刻なドライバー不足など、以前より“引っ越し事情”が厳しくなっているのは事実だ。

(サガテレビ)

サガテレビ
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