大量の黄砂が西から列島を覆ってきている。26日(水)にかけて、九州~東北の広い範囲に飛来する予想だ。25日(火)朝は大阪で、昼前には長野や静岡などでも観測された。物が肉眼ではっきり見える範囲「視程」は各地で10キロ未満となり、ところによっては5キロ未満になる可能性がある。

この記事の画像(6枚)

これだけ広い範囲で黄砂が観測されるのは、2023年4月13日以来となる。この時は、当時黄砂を観測していた11地点、札幌・仙台・新潟・東京・名古屋・大阪・広島・高松・福岡・鹿児島・那覇のうち、那覇を除く10地点で観測された。(2024年3月26日以降、気象庁は東京と大阪だけの目視観測に変更)

黄砂の正体は?肉眼で見るのは難しい

黄砂は、中国大陸にある砂漠の砂などが、風によって上空数千メートルにまで巻き上げられ、それが偏西風に乗って日本まで飛来する現象。主に3~5月にかけて飛んでくることが多い。

黄砂の粒子は、直径約4μmのものが大部分を占める。花粉の粒子が直径約30μmなので、花粉より小さい。

髪の毛が直径100μm程度なので、黄砂の粒子自体を肉眼で観察するのはなかなか難しいと言える。

アレルギーや循環器疾患、呼吸器疾患に影響

環境省によると、以下の健康被害が心配されるという。

黄砂の飛来は目や鼻、皮膚などのアレルギー症状との関連があり、目のかゆみ、結膜炎、鼻水やくしゃみなどを引き起こすことがある。黄砂の濃度が高い日ほど、それらを発症する人が多くなる傾向にある。

呼吸器疾患との関連も指摘されている。喘息の症状がある方などはいっそうの注意が必要だ。疾患のない人でも、黄砂の濃度が高いほど咳が出ることが報告されている。

“今の黄砂“は「ライダー観測」で確認を

黄砂の予想は気象庁のホームページで確認出来るが、実際に観測された実況値を見るとすると、気象庁のページでは東京と大阪しか分からない。

そこで活用したいのが、環境省の黄砂飛来情報「ライダー観測」だ。

雨雲を観測する「レーダー」と違い、この「ライダー」はなかなか耳にしない。「ライダー」は微粒子の観測に使われ、レーザー光を使って上空の黄砂をリアルタイムで計測している。

黄砂は健康被害だけでなく、洗濯物や車が汚れるなどの影響もあるため、この「ライダー」もうまく活用して対策にあたっていただきたい。

【執筆】日本気象協会・福冨里香 気象予報士

フジテレビ気象センター
フジテレビ気象センター

最新の気象・防災情報や、「なぜそういったことが起こるのか?」現象の背景を徹底解説。フジテレビ気象センターに所属する気象予報士9人の他、日本気象協会、ウェザーマップとも連携し、天気を味方につけて毎日が楽しくなる情報や、つい誰かに話したくなるような情報などお届けします。