自民党総裁選の投開票が行われ、菅義偉官房長官が新総裁に選ばれた。菅新総裁の就任会見全文は下記の通り。

既得権益、前例主義を打倒して規制改革を進めたい

菅 新総裁:
改めまして、先ほど自由民主党総裁に就任をいたしました菅義偉であります。どうぞよろしくお願い申し上げます。

私は高校まで秋田で育てられた一農家の長男坊であります。
地縁血縁のない私が政治の世界に飛び込んで、まさにゼロからのスタートでありましたけれども、この歴史と伝統のある自由民主党、その総裁に就任させていただける、そうしたことはまさに民主国家日本の一つの象徴でもあるのかなというふうに思っています。

私自身横浜の市議会議員を2期8年の経験をしています。まさに現場に耳を傾けながら、そして何がおかしいのか、そうしたことをひとつひとつ見極めて仕事を積み重ねてきました。

自由民主党総裁に就任した今、まさにそうしたおかしな部分があれば徹底的に見直しをし、この日本の国を前に進めていきたいと思います。
そういう中でやはり役所の縦割り、さらに既得権益、そして前例主義を打倒して規制改革をしっかり進めていきたい、このように思ってます。
そして国民のために働く内閣というものを作っていきたい、その思いで自由民主党総裁として取り組んでいきたいというふうに思っております。

そして私自身は内閣官房長官として7年8カ月安倍総理のもとで日本経済の再生、そして外交安全保障の再構築、さらには全世代型社会保障制度の実現など、まさに重要課題に取り組んできました。

このコロナ問題は、安倍総理が陣頭指揮を執っていたのでありますけれども、病気のために道半ばで安倍総理が退かれる事になりました。

その時に私自身まさに悩みました。それはこのコロナウイルスの感染が拡大する中で政治空白を作ってはならない。
そして国民の皆さん一人一人が安心して安定した生活を取り戻す、そのためにはこの危機を乗り越えていくためには、安倍総理の下で取りまとめてきたコロナ対策とか、そうしたものを実行に移さなければならない。
私自身熟慮に熟慮に重ねて出馬に踏み切ったわけでありますけれども、そういう中で今日総裁選挙によって就任をすることができました。

私自身の政治に対する基本的な姿勢は、そのような姿勢でありますので、ぜひ皆さんにもご理解をいただく中でこの日本の国を前に進めていきたい。よろしくお願い申し上げます。

「地方の現場をよく知っている」ことが支持を集めた

記者:
日本経済新聞です。今回の総裁選が圧倒的な票差の勝利となりました。まず支持された理由、勝因についてどうお考えでしょうか。また党内の5派閥から支持を受けましたが一部には派閥主導の密室政治といった批判もありました。今後の政権運営において派閥の意向に政策が左右されることはありませんでしょうか。
一方、討論の場では「森友・加計」問題、「桜を見る会」といった安倍政権のいわゆる負の遺産に関し一貫して追加的な対応を否定されてまいりました。選挙戦で政策論争が深まらなかったかも含め深められたかも含め、今回の総裁選のあり方が党員や国民に理解を得られたかどうお考えでしょうか。

菅 新総裁:
まず今回の総裁選挙で、今日両院議員総会で発表されましたように、圧倒的大多数の支持のもとに就任をさせていただいたというふうに思っています。

そして私を支持をしていただいた大きな理由として、やはり私自身が地方出身で、地方の現場をよく知っている、ふるさと納税を総務大臣の時に作ったことや、そうした地方の発展のためにインバウンドで地方の特産品を全部免税品にしたとか、あるいは農業も輸出に力を入れて政権交代をして、4500億円から9000億円になって農林水産業も海外に出はじめたとか、そうしたことがかなり浸透し始めてきているなということがあります。

それと私、市議会議員を2期8年横浜で経験しました。地方議員の人たちが今回一生懸命に応援してくださったというふうにも思ってます。
そういうことがあって、私自身にこの票が集まってきたのかなというふうに思います。

それとやはり先ほど冒頭申し上げましたように、まさに政治空白は作っちゃならない。
コロナ対策をちゃんとやってほしい、そして経済もしっかり再生してほしい。まさにこの両立というものを多くの皆さんが今望み始めてきたのではないかなというふうに思っています。
そうしたことが相まって、私の大きな勝利につながったのではないかなというふうに思います。
いずれにしろこうしたことをしっかりこれからもやり遂げていきたいというふうに思ってます。

また派閥でありますけども、私は派閥に入っていません。私自身、この総裁選挙へ出馬する決心をしたのが一番遅かったと思います。

先ほど申し上げましたけど、総理が病気のために退かれる、そうした時にこのコロナ対策、そして私はGoToキャンペーンも主導しましたので、経済対策、そうしたことを実行に移す人間、私はまさに悩みに悩んだんですけど、やはりこれは私がやらなきゃならない、そういう判断をしましたけれども、そうしたこの極めて困難な状況にはやはり党内の国会議員の皆さんは、官房長官として7年8カ月仕事してきてますので、菅がやはり一番適任じゃないかなという声が広がってきたんじゃないでしょうか。

私は、派閥の人からもいろんな意味で左右されて、冒頭申し上げましたけど、まさにこの縦割りあるいは既得権益、そして悪しき前例主義、こうしたものを打ち破っていくのが私の仕事でありますから、そうした派閥の皆さんの弊害ということは私は全くない。
ただ政策を説明をさせていただいて、大きな数をいただきましたので、安定して自分の目指す政治を行っていけるそういう環境は整ってきたのではないかなというふうに思います。

また、この「森友・加計・桜」について安倍政権においては様々なご指摘を受けております。
そういう中で客観的におかしいと思ったことについては、正していかなければならないというふうに思いますし、国民の皆さんに何事も丁寧に説明をすることも大事だというふうに思います。

その上で成果を出して国民の理解をいただく、そうした対応をしっかり行っていきたいと思います。

閣僚は「改革意欲のある人」

記者:
TBSです。党役員閣僚人事について伺います。全体としてどのような方針で臨むのでしょうか。指示を受けた派閥に配慮する派閥均衡型を取るお考えなのか、石破・岸田両氏や両派からの起用もお考えでしょうか。具体的には二階幹事長や麻生副総理兼財務相には続投を求めますか。またご自身の後任にあたる官房長官は「総合的に仕事ができる人が望ましい」と発言されていましたが、どのような点を重視しどなたを充てるお考えでしょうか。
加えて新総裁の出馬を支えた森山国対委員長の要職起用の声も上がりますが、どのように処遇するお考えでしょうか。
さらに組閣にあたっては安倍政権を継承する方針から居抜き内閣や小幅改造などの見方も出ていますが大幅に改造する考えはありますでしょうか。また、民間人の登用についても併せてお聞かせください。

菅 新総裁:
まず基本的な人事方針ですけれども、それについては総理総裁がしっかりした方向性を示して各閣僚と一体となって仕事を行っていきたいそう思っています。
ですから私が目指すのは先ほど申し上げましたが、規制改革は徹底してやりたいと思っていますので改革意欲のある人、改革に理解を示してくれる人、そうした人を中心に人事を進めていきたいというふうに思います。

派閥均衡型、石破さん、岸田さん両方を起用するかどうかということですけれども、これについては総裁選が終わった時点ですべて終了した、自民党の旗の下にみんな結集して一致団結してこの国を前に進めていこう、とこう私がご挨拶させていただきました。
そういう面において適材適所、さっき言いましたけど、改革意欲のある人、そうした人たちはいろんな派閥に散らばっていますので、そうした観点から登用していきたいというふうに思っています。

二階幹事長、麻生副総理続投ということですけども、内閣の要そしてまた党の要であります。極めて政権運営で重要なお二方だと思います。続投かどうかはまだ決めていません。

官房長官は「総合的に力のある人」

それと官房長官であります。官房長官は、私は7年8カ月やるにつれて、いろんな要素がありますが、それと総理との組み合わせもそうだと思います。そうしたことを全体的に考えて、総合的な力がある人がやはり一番落ち着くんじゃないかと思います。

森山国対委員長でありますけど、本当に素晴らしい国対委員長だというふうに思いますし、政治経験も豊かでありますから。森山委員長の能力というのは私は大変高く評価をしております。人事どうすることは全く決めてません。

また、安倍政権を継承する方針から、居抜き内閣や小幅改造ということではありますけれども、これは総理大臣が変わるわけですから、思い切って私の政策に方向が合う人を登用して、仕事をしていかないと、国民の皆さんに申し訳ないですから、改革意欲があって仕事ができる人をしっかり結集して、「国民のために働く内閣」、こうしたものを私はつくっていきたいというふうに思っています。民間の登用はまだ決めてません。

今日総裁に就任したばかりであり、明日、党の主な人事があるわけでありますから、とにかく総裁選出馬から今日まで全く時間がない中で、毎日毎日懸命に取り組んできましたので、ようやく今日で落ち着きました。

ゆっくり考える暇も実はないのですが、私自身の基本方針、改革への意欲があって仕事ができる人、そうした人を中心にこれから進めていきたいというふうに思います。

解散は「コロナが完全に下火になった時」

記者:
毎日新聞です。衆議院の解散についてお伺いします。
具体的にどのような条件が整えば解散に踏み切るお考えでしょうか。菅総裁これまで解散に関してはコロナ対策最優先だと発言されてきましたが、何をもってコロナ感染の収束というふうにご判断されますでしょうか。またその収束に当たると判断した場合には即座に衆院解散をお考えなのでしょうか。
さらに菅さんは総裁選期間中デジタル庁の創設であるとか、厚労省の組織再編など省庁改革も打ち出されてきましたけれども、族議員であるとかあるいは省庁の抵抗も多く予想されます。小泉純一郎元首相がかつて郵政民営化を争点に衆院選を戦い、国民の世論を背景に改革を進めましたが、菅さんも衆院選で省庁改革を争点として党などの考えはありませんでしょうか。

菅 新総裁:
衆議院の解散がどんな条件かということですけども、私は官房長官の時から常に、コロナ問題を収束してほしいというのが国民の皆さんの大きな声である、また経済を再生してほしい、これも皆さんの大きな声がある。そうしたことを申し上げてきました。

やはり今はまさにコロナがまだ感染者が毎日出ている状況でありますから、ここを徹底して収束にもっていく、そして経済の、GoToキャンペーンを主導してまいりました。
地方の経済を考えたときにこのキャンペーンはやるべきだという判断でした。いろいろ皆さんからご批判をいただきましたけれども、結果的には780万人の方が利用してコロナの陽性の方は確か7人ぐらいだったと思います。

これは地方から大変評価をいただいてます。
やはりこのことによって地方の旅館やホテルなど食品の納入業者だとかお土産屋さんだとかそうした地方経済にはものすごく役に立ってきているというふうに思ってます。

そういう中で、その条件ということでありますけれども、そこはやはり専門家の先生から、GoToキャンペーンの時もそうだったですけど、そうした専門家の先生の考え方を参考にしながら判断をさせていただいてますので、その特別の条件というよりも、先生方の見方がもう完全に下火になってきたと、そうでなければそこはなかなか難しいのではないかなというふうに思っております。

それとせっかく総理大臣に、総裁に就任したわけですから、仕事をしたいなっと思ってますので、収束も徹底して行っていきたいと思いますし、そうした中でこの解散の時期というのはなかなか悩ましい問題になると思います。
官房長官のときは総理大臣がやるといえばやるやらないといえばやらない、こういう乱暴な発言をしましたけども。きょうは今申し上げましたように、やはりコロナが収束と同時に経済を立て直すことが大事だというふうに思います。

そうすると収束したらすぐやるのかというとそんなことでもないと思います。全体を見ながら判断をしたいというふうに思います。

デジタル庁へ法改正の準備

それとデジタル庁やこの厚労省再編の省庁改革ということでありますけど、今回のコロナ禍の中で浮き彫りになったのは、やはりこの日本のデジタル関係が機能しなかったということが一つの大きな課題であります。

実は私、マイナンバーカードを去年から対応してきていたのです。
これだけのお金をかけて、12パーセントでしたから、これを普及させようと思って、まずやったのが厚生労働省に健康保険証として使えるような、こうしたことを厚労省とけんけんかくかくしました。
かなり強い抵抗があったんですけども、これは何とか協力してもらえるようにいたしました。
ですから確かLINEでしたか、もうそんなに時間かからないで保険証は使えるようになりました。

今は免許証も検討になってますから、少しずつ省庁の壁を越えながら、最終的にはこのマイナンバーカードがあれば役所にわざわざ行かなくても24時間365日できるようなそういう方向にしたいというふうに思います。

私がなぜこのデジタル庁を作るといったかといえば、やはりどうしても各省庁が持っているんです。それを法律改正しなければこれできませんから、思い切ってその象徴としてデジタル庁を作る。それで法改正も早速やっていきたいと、法改正に向けてさっそく準備をしていきたいと思っています。

そういう中で、このデジタル庁というものを作り上げてひとつの象徴になると思います。

私自身このコロナ禍の中にあって、第2次補正で光ファイバーに500億円予算をつけてます。
これは私、総務省が当初300億円の要求だったんですけれども、こういう機会だから一挙に日本全国に光ファイバーを敷設しようと思いまして、離島まで含めると500億円でできるということで、要求より200億円多くつけてますから。
そういう意味で意気込みというのも皆さんにご理解をいただけるのかなというふうに思ってます。

選挙で省庁再編というのは、考えてもないんですけども、ただ抵抗するというんですかね。今は省庁の皆さんも、変えていかなければならない、私はかなりの人たちが思い始めてきたんじゃないでしょうか。

私が今官房長官にやってるからとということでなくてですね、やはり省庁そのものもやはり改革に前向きにしないと立ち行かなくなるという、そうした考え方の方が非常に大きくなってきているのかなというふうに思ってます。

いずれにしろ、この目標を決めたらそれに向かって進んでいきたいと思ってます。

北方領土と憲法改正問題

記者:
北海道新聞です。北方領土問題に関する基本的な立場について2点を伺います。
日露両国は平和条約締結後の歯舞色丹2島の引き渡しを明記した日ソ共同宣言を基礎に交渉を進めることで合意し2島返還に方針変換したと言われています。
一方、日本の世論は歴史的経緯などを踏まえ明確に四島返還を主張すべきだとの声もあります。
菅さんは以前、四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結すると説明されていましたが、ロシア側に四島返還を求めていく考えはありますでしょうか。
また、ロシア側は改正憲法に領土の割譲禁止を明記したほか、高齢化した元島民からは領土問題が未解決のまま置き去りにされるとの懸念の声も出ています。
菅さんは先日の日本記者クラブの討論会で外交について、安倍首相にも相談しながら行っていくとおっしゃいました。
今後どのように北方領土返還を実現するのでしょうか。具体的にお考えをお聞かせください。

菅 新総裁:
北方領土については私今申し上げましたように四島の帰属を明確にした上で交渉していく。それと安倍総理に相談ということですけど、やはりロシアがプーチン大統領でありますから、総理とプーチン大統領の間は極めて信頼感があります。

もっと言いますと、森元総理とプーチン大統領ともやはりものすごい信頼感があるんですよね。
そういう中で安倍外交についても、森元総理大臣からいろんな助言とかいただいて進めてきているということも事実でありますので、やはり外交というのは総合力でありますから、ありとあらゆるものを駆使する中で進めていくだろうというふうに思います。

それと、プーチン大統領は柔道が大好きで、日本の山下選手と一緒に来ればその交渉が主役となる、そういうことを平気で言われるほど、柔道には親近感を持っているようで、プーチン大統領の訪日した時もすべて山下選手に同行いただいたということも事実ですから、やはり同じ人間ですから、自分のあう人ということはものすごく大事なんだろうと思います。

記者:
産経新聞です。憲法改正について伺います。
菅総裁はこの総裁選を通じて憲法改正に挑戦する考えを示しておられました。ただ安倍政権では野党の反対もあってなかなか国会の審議が進まない状況です。菅総裁は憲法改正に具体的にどう取り組んでいくのか、その意欲と必要性についてもまたお伺いできればと思います。

菅 新総裁:
自民党は憲法改正を是として立党された政党であることも事実です。
そしてもう70年以上経つわけでありますから、現実とそぐわないことはたくさんあります。

そういう中で自民党は4項目を決定し、そこの4項目を中心に今国会の中でそれぞれの政党の立場を明確にして、まず審査会を動かしていくことが大事だと思います。そこで議論して国民の雰囲気を高めていくということも大事だと思います。
いずれにしろ私自身総裁として、そうした憲法改正4項目を中心に自民党が決定をしますので、そうしたことに挑戦をしていきたいというふうに思います。