オーバーツーリズムで市民生活に影響が出ている北海道小樽市で、観光客のマナー違反をなくそうと「忍者」が動き出した。
小樽市内の若者たちの取り組みだ。
大正ロマンあふれる観光地・小樽に現れた「忍者」
「あれ、忍者じゃないですか…」(安野陽介ディレクター)
小樽の観光地を小走りでやってくる一人の忍者。
「彼らはルールを知らないだけで、ルールを破ってまで何かしたいとは思ってないと思うんですよ。理解していただいた上で、楽しい観光をしていただきたいなと」(オタルネクスト100実行委員会 池田憲昭さん)

映画ロケ地に外国人観光客が殺到―現地の住民は
船見坂は映画のロケ地となったことで、大勢の外国人観光客が訪れるようになった。
車道で撮影をするなどマナー違反が相次ぎ、小樽市は注意喚起の看板を持った警備員を配置。
2025年1月には、JR朝里駅の近くで写真を撮影しようと線路内に入った中国人観光客が列車にはねられ死亡する事故も起きている。

現在どのようになっているかというと。
「こちらの注意書き、おそらく『私有地に入ってはいけません』ということだと思うんですけど、向こうに足跡はないのでギリギリセーフなんですかね」(安野ディレクター)
しかし、住民に話を聞くと注意書きの効果は薄いという。
「勝手に入ってくるし、ここ通り抜けられたりするから。ゴミは捨てていくし。SNSで広まっちゃったから。何もない朝里に来て何が楽しいのかなと思うんだけど」(朝里駅近くに住む男性)

地元を愛する若者たちが立ち上がる―カギを握るのは“忍者”
春節やさっぽろ雪まつりの時期に比べ、外国人観光客は少なくなったとはいえ、住民は今も頭を悩ませている。
この状況を何とかしようと立ち上がったのが平均年齢29歳、「オタルネクスト100実行委員会」だ。
「SNSにはSNSで対抗するのがおもしろいんじゃないかと」
「楽しく注意喚起できれば観光地としてはいいと思うでござる」(いずれも実行委員会のメンバー)
2023年の小樽運河完成100周年記念イベントを皮切りに、街を盛り上げるさまざまな企画を考えてきた、地元を愛する若者たち。
「マナーを守っていこうというSNS用のPR画像を作成しています。良い写真を撮りたいという、そこが(オーバーツーリズムの)原因かなと見てますので、SNSにはSNSで対抗していった方が」(実行委員会のメンバーら)
「なんで忍者なんですか?」(安野ディレクター)
「やっぱり外国人に訴求するといったら忍者かなって」(実行委員会 坂口武さん)
実行委員会のメンバーが忍者に扮し、3月2日に撮影。
完成したのが……

「DO NOT ENTER!私有地に入らないで!住民が困ってるでござる」と忍者が訴える、SNS用の画像。
「ハッシュタグ決めて。本当は#オーバーツーリズム対策とか入れたいけどね」
「あげるよ?」
「あっ、きた!」
「ほら、いいねついた」(いずれも実行委員会のメンバー)

忍者のSNSに外国人観光客は?
「修行する忍者?歓迎します?」
「ただルールは守らなければいけないんだって」(外国人観光客)
SNSでは「英語だけだと伝わりにくい」「中国語や韓国語でも伝えてほしい」などの反応があった。
小樽の若者たちのこの取り組み。
第10弾まで展開していく計画だ。
