岩手・大船渡市で、2月26日に発生した大規模な山林火災の発生から13日が経過した3月10日、約2400人に出されていた避難指示が全て解除された。山林火災は、9日に延焼の危険がない「鎮圧」と発表されたが、いまだ鎮火はしておらず、消防が消火を続けている。
避難指示全て解除…住民らは自宅へ
2月26日に岩手・大船渡市で大規模な山火事が発生してから13日目となる3月10日午前10時頃、約2400人余りに出されていた避難指示がようやく全て解除された。

10日午前10時頃、綾里(りょうり)地区へと続くゲートは解除され、警察がコーンの片付けなどをしていた。道路の通行止めも解除され、次々と住民が自宅へ戻った。今回の山火事による家屋などへの被害は、判明しているだけで210棟に及んでいる。

10日に自宅に戻った熊谷由紀子さん。倉庫やワカメの作業場として使っていた2つの建物が全焼した。
熊谷由紀子さん:
1軒目はこうなってて、そのつなぎがトイレなの。冷蔵庫が2つあって、ワカメの資材が入っていたの。
自宅は、ぎりぎりのところで延焼を免れた。
熊谷由紀子さん:
形があることが安心、気持ちがほっとした。本当に何もなくなっていたら、何とも言えないだろうけど。
綾里地区に住む森下幹生さんは、自宅が全焼した。
森下幹生さん:
元々船やってた、漁業。形見とか、それが全部なくなってしまった。
水産会社の会長を務める森下さんだが、2011年の東日本大震災では、津波により2つの工場などが被災し、約10億円の被害が出たという。

森下幹生さん:
3.11は会社が全壊して、3.11の方が大変だった。自宅だけだから今回は。思い出が詰まった玉手箱のような自宅だったけど。
2度目の被災となった今回、この先どうしていくかは家族と相談して決めたいとしている。
「立派な写真があった、燃えずに」自宅から持ち出した写真残る
今回の山林火災で犠牲となった柴田吉郎さん。10日午後2時頃、家族が自宅を訪れ、遺体が見つかった場所に花を手向けた。

父・柴田吉郎さんを亡くした娘の松川悦子さん:
実家が無くなっちゃった。
遺体が見つかったのは、自宅から約200m離れた坂の途中で、その近くには、奇跡的に吉郎さんが自宅から持ち出したとみられる写真が焼けずに残っていたそうだ。

父・柴田吉郎さんを亡くした娘の松川悦子さん:
立派な写真があった、燃えずに。それを持って上がったみたい。大事な物だから。それだけが一番。
山林火災は、9日に延焼の危険がない「鎮圧」と発表されたが、未だ「鎮火」には至っておらず、消防と消防団が消火活動を続けている。
(「イット!」3月10日放送より)