管理職や昇進に関心のある女性を対象にしたイベントが開催され、昇進への悩みや葛藤が語られた。調査では昇進を避ける理由として「責任の重さ」と「プライベートとの両立の難しさ」が挙げられた。管理職の要件を明確にすることで、女性が挑戦しやすい環境を整えることが重要だと、専門家は指摘する。

管理職への意欲と不安…責任の重さと家庭の両立

3月8日は、国際女性デー。働く女性たちのキャリアップが注目される中、彼女たちの本音を聞いてきた。

色とりどりの軽食と会話を楽しむ女性たち
色とりどりの軽食と会話を楽しむ女性たち
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季節の野菜に、カプレーゼ、フルーツにナッツなど、しゃれた軽食やドリンクを楽しみながら談笑する女性たちの様子は、まるで女子会のようだ。

参加者の口からは、「『管理職になることで自分の仕事をよりできるようになるんじゃない』と言われて…」といった声が聞かれた。

東京・渋谷区で6日に開催されたのは、女性管理職や、管理職へのキャリアアップに興味がある人に向けた、女性管理職の「心のブレーキ」に向き合う対話・体験型イベントだ。

個人やチームの潜在能力を引き出し、成長をサポートする「コーチング」サービスを提供する企業「mento(メント)」が、国際女性デーを前に行った「管理職や昇進に関する男女意識調査」によると、管理職になりたいと考える女性は27.8%と、男性の42%と比べて1割ほど低い結果になった。

情報システム(30代):
挑戦してみたいという気持ちがあるとは思うんですけど、一方で自分にできないなみたいな。

人材関係(30代):    
いま私課長ですが、じゃあ部長をすぐ目指したいかと言われると、「?」かなというのもあって。

管理職になりたくない理由の1位は男女共に「責任・プレッシャーが重い」だったが、女性の場合、次に多かったのが「仕事とプライベートの両立が難しい」だった。

メント・丹下恵里取締役COO:
なりたくないと一言で言っているところには職場だから出していないけど、本当にいろんな葛藤があって、頑張りたいけどこうなんだという葛藤や、ゆらぎみたいな生っぽさみたいなのを、もっと人事の方にも世の中にも知ってもらいたいなと。   

管理職に対する心のブレーキと向き合い、今後のキャリアに向けたヒントを一緒に探してほしいと、イベントには管理職として活躍する女性たちが登壇した。

無理しすぎず“自分らしく”管理職への一歩を

保育や教育現場のICTを手掛ける東京・品川区「コドモン」で働く木島さんは、課長になって5年で、チームメンバーのマネージメントをする立場だ。

コドモン 普及推進部・木島明日香さん:
上司に「その役割果たしているんだから、なったら?」と声をかけていただいたのがきっかけ。時短勤務だったので、そこまでやりとげられるんだろうかと。

11歳の息子と1歳の娘の母でもある木島さんは、実は1人目の妊娠出産を機に、キャリアを諦め退職した経験がある。

現在の職場の上司から「一番である必要はない」と背中を押され、管理職になることを選んだ。今はメンバーを支えていく仕事に、やりがいや楽しさを感じているという。そんな木島さんが女性たちへのメッセージを語った。

コドモン 普及推進部・木島明日香さん:
私がゴキゲンだと、子供もゴキゲンなんですよ。自分が赴くままにやりたいという気持ちを大事にしようって挑戦したりとか、残業してでもやりたい日ってあるじゃないですか。

現在、管理職として活躍する人も、全てが順風満帆だったわけではない。リアルな声を聞いた参加者たちは次のように話す。

金融関係(20代):        
管理職になるならないとかは正直答えは出ないが、悩んでいてもいいんだっていう、悩んでいる人がいっぱいいるのが分かったので、すっきりしました。

スポーツ関係 管理職(30代):
子育てしていくことと働くことの両立というのが、みんな難しいんだなっていうのは、今後の参考になりました。ハッピーに働いて、周りもハッピーにさせる。まあ、そういったことがすごい大切なのかなと。

コドモン 普及推進部・木島明日香さん:
自分が本当は何したいのかとか、本当に自分が考えていることっていうところを叶えるために、小さな一歩でも踏み出してほしいなと思います。

誰もが管理職への一歩を踏み出せる環境を

「Live News α」では、デロイトトーマツグループ執行役の松江英夫さんに話を聞いた。

海老原優香キャスター:
キャリアアップを目指す女性にも、一人一人、さまざまな悩みがあるようですね。

デロイトトーマツグループ執行役・松江英夫さん:
抜本的な解決には、管理職とは何か、「管理職のあり方」を見直すことが大事だと思います。

具体的には、多様な環境の方でも働けるようなことを念頭に置いて「管理職の要件」を明確にしていくことが大事になってきます。

海老原キャスター:
これを満たせば誰でも管理職になれる、という要件を明確に示すということですね。

デロイトトーマツグループ執行役・松江英夫さん:
そうなんです。実際にある組織では、管理職に必要な要件を、「こういうイメージじゃなきゃいけない」、「長く働かなきゃいけない」というのを払拭して、本当に管理職に必要な能力だけを明文化するという取り組みをやりました。

その結果、管理職に応募した人が、男性は約1.4倍、さらに女性では約1.7倍と膨らんだと。女性にとって、チャンスだと思えるようなきっかけを作ったんです。

女性活躍をきっかけにしながら、誰でも一人一人の強みを生かして、管理職になれるような職場が増えることを期待したいです。

海老原キャスター:
職場によっては未だに上司から「女性が何を言っているんだ」と言われたり、「替えが効かないから、今はまだ子供が欲しいと言わないでほしい」と言われたりして、困惑したという方もいるようです。一人一人が働きやすい未来に近づくといいなと感じます。
(「Live News α」3月7日放送分より)