真っ赤な炎で埋め尽くされた山肌。炎が目前に迫る中、消防隊員たちが消火活動にあたる。燃え盛る炎の帯は、崖の下まで延々と続いていた。

2月26日に岩手・大船渡市で発生した山林火災は、5日で丸1週間になる。
各地から駆け付けた緊急消防援助隊が上空と地上から夜を徹して消火活動に当たったが、山林の急傾斜が立ちはだかるなど作業は難航。
5日午前6時の時点での消失面積は、前の日より300ヘクタール広がり、市の面積の9%に当たる約2900ヘクタールに及んだ。東京都心を走るJR山手線の内側の面積の半分ほどが消失してしまったことになる。

「恵みの雨」38日ぶりにまとまった雪や雨

なおも木や草に燃え移った火が住宅のすぐそばまで迫るなか、日付が変わった5日午前0時ごろ、みぞれ混じりの雪が降り、昼夜を問わず消火活動にあたっている消防隊の周囲にも雪の粒が降っていた。

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5日連続で乾燥注意報が出ていた岩手県沿岸部。大船渡市でまとまった雪や雨が降るのは、実に38日ぶりのことだ。長引く避難所生活を続ける住民たちからは、火災発生後初めての雨で火の勢いが収まることへの期待の声が上がった。

避難者:
恵みの雨。

避難者:
とにかく一日でも早く避難指示が解除されて、戻りたいというのが本音です。

5日午後2時の岩手県大船渡市。 降り続いた雪が雨に変わり、火の手が迫る甫嶺(ほれい)地区が白く霞んでいた。大船渡市では午後から雨が少し強くなり、恵みの雨ではあるが、ヘリコプターによる消火活動が止まってしまった。

4日まで 山林のあちこちから上っていた煙が雨の影響なのか、5日は少ないように感じられる。

観光客:
これで(火災が)収まってくれるといいなと思いますね。

地元住民:
本当にね、待望の雨ですよね。 みんな100%望んでいたことで、もうどんどん、どんどん降ってくれと。

地元の人気店が避難住民にラーメン提供

空と陸の両面から24時間体制で消火活動が続けられているが、消失面積は拡大し続け、鎮火のめどが立たず、住民の避難生活も長期化している。

地元の人気ラーメン店が避難住民にラーメンを無償提供
地元の人気ラーメン店が避難住民にラーメンを無償提供

そうした中、地元の人気ラーメン店「大船渡秋刀魚だし 黒船」が、避難住民へのラーメンの無償提供を行った。

地元三陸産のさんまを使った看板メニュー「秋刀魚だしラーメン」など、暖かい食事が無料で提供され、避難生活を送る住民たちからは「やっぱりありがたいです。ましてこんなに美味しいのをいただけるんだから」と喜びの声があがった。

店主は避難所が全て閉鎖されるまで、無償提供を続けたいと話す。

大船渡秋刀魚だし 黒船 岩瀬龍三店主:
一時だけでも現実逃避をしてもらえればいいかなって。泣いちゃう人もいたりするので、もう本当恐縮しちゃうんですけど。

5日午後5時現在「鎮圧には至らず」

大船渡市では、火災が発生してからはもちろん、実に38日ぶりとなるまとまった雨が降っているが、火の勢いを止める“恵みの雨”となるのか。5日午後5時大船渡市の渕上市長らが会見で、最新の消火活動の状況について説明した。

防災管理室長:
本日5時現在、鎮圧には至っておりません。

大船渡市 渕上清市長:
本日の雨を境に、なんとか鎮圧に向かってほしいと、そう願うものであります。

建物被害は少なくとも78棟としている。

長期化する山林火災について、5日の国会で政府の対応について問われた石破首相は…。

石破茂首相:
激甚災害ということ。 もちろん視野には入っております。
(「イット!」3月5日放送より)

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