斎藤兵庫県知事をめぐる疑惑について調査を続けてきた百条委員会が、3月4日午後、結果を公表した。
■【動画で見る】「元局長の文書は事実無根でも嘘八百でなかった…」百条委が報告書まとめる
およそ8カ月間行われた調査で一体何が明らかにされたのか。そして、混乱が続く兵庫県政は、今後どのようになっていくのだろうか。

記者リポート:百条委員会の委員が部屋に入っていきます。18回目となる最後の委員会が開かれます。
4日午後に開かれた、兵庫県議会の百条委員会。
百条委員会 奥谷謙一委員長:本日、調査報告書がまとまりましたので、議長に提出したいと思います。
斎藤知事をめぐる疑惑などについての調査結果が提出され、ついにその内容が明らかになった。
■元局長が知事のパワハラ疑惑など告発する文書を配布したことが発端
事の発端は2024年3月。元西播磨県民局長が一部の県議や報道機関に、知事に関するパワハラ疑惑など7項目を告発する文書を配ったことにある。

斎藤知事はこの告発をすぐさま批判。
兵庫県 斎藤元彦知事(2024年3月):事実無根の内容が多々含まれている。業務時間中にうそ八百含めて文書を作って流す行為は公務員失格です。
県は告発者が誰なのか探し出し、元局長に出したのは「停職3カ月の処分」。勤務中に業務と関係ない文書を作ったことなどが理由だった。

しかし、この一連の対応で問題になったのが、“公益通報者保護法違反”。告発者探しや不利益な扱いは公益通報者保護法で禁止されていて、県が告発を「公益通報」と扱わず元局長を処分した対応が問題になった。
告発文の7つの疑惑と公益通報について調べるため、県議会で百条委員会が設置され、職員へのアンケートや、知事や関係者への証人尋問などが行われた。
■百条委の調査を待たずに知事不信任 出直し選で斎藤知事が再選
しかし、調査の真っ只中の2024年9月。
兵庫県議会 浜田知昭議長(2024年9月):斎藤元彦兵庫県知事に対する不信任決議案は可決されました。
百条委員会の調査結果を待つことなく県議会は不信任決議を可決。斎藤知事は失職した。

その後の出直し選挙では、NHK党の立花孝志党首が斎藤知事を応援する、いわゆる“2馬力選挙”を行うなど異様な選挙戦になった。
当初、厳しいと見られていた情勢を斎藤知事はひっくり返し、再び知事に返り咲いた。
■維新の反対で百条委の調査結果取りまとめは一時難航
知事の再選後も、調査を続けていた百条委員会は、ことしに入り調査結果のとりまとめ作業を本格化。そこで浮き彫りになったのが会派の間の“溝”だった。

委員の多くが「パワハラ」や「公益通報者保護法違反」について認定すべきと主張していた一方、維新は認定に否定的だった。
維新の会(当時)増山誠兵庫県議(2024年12月):3月20日の時点で知事が(文書を)受領した時には一般の方からもらっていて、(テレビで)弁護士が『公益通報にはあたらない』という法解釈をされている。
委員の間での意見がまとまらず、一時は、維新が主張した「パワハラの認定は司法の判断によるべき」「通報者の探索が違法だったとは断定できない」など、否定的な意見を加える、両論併記も検討されていた。

しかし、その状況は一変。百条委員の維新の2人の県議が、知事選中に真偽不明の文書や百条委員会の公開前の音声データを、NHK党の立花党首に提供したことが発覚した。
維新の会(当時)増山誠兵庫県議(2月23日):私は立花さんについてはメディアとして認識しておりまして。この方にお伝えをすることによって、県民の皆さまが知ることができるのではないかと考え、立花氏へ(音声を)提供した。
維新の会(当時)岸口実兵庫県議(2月23日):私から立花氏に(文書が)渡ったことは、もちろん否定できない。
情報漏えいの責任を取り、2人は百条委員を辞任。維新は当初主張していた反対意見を取り下げ、急転直下、会派間の合意が進んだ。
■「事実無根でもうそ八百でもなかったというのが我々の調査結果」
そして、3月4日。委員を辞任した増山県議も見守る中で、行われた百条委員会。

百条委員会 奥谷謙一委員長:ご異議ございませんか?
委員:異議なし。
百条委員会 奥谷謙一委員長:ご異議ないと認め、案の通り決定することとします。
およそ8カ月に及んだ調査の結果がまとまった。
報告書で注目されたのは、パワハラ疑惑の調査について。斎藤知事が公用車を降りて職員に叱責するなどした疑惑について、概ね事実としたうえで『パワハラ行為といっても過言ではない不適切なものだった』と評価した。
また公益通報について。元局長が行った告発は『外部公益通報に当たる可能性が高い』と示し、告発者探しを行い、元局長を処分した一連の県の対応について、『公益通報者保護法に違反している可能性が高い』とした。

百条委員会 奥谷謙一委員長:元県民局長作成の文書については、事実無根でもないし、うそ八百でもなかったというのが我々の調査結果です。知事ならびに県当局は、文書問題の対応については一切問題がなかったという認識であると思いますが、今一度、その対応を振り返っていただいて、しかるべき対応を取っていただきたい。
報告書は、3月5日の本会議で正式に提出される。
(関西テレビ「newsランナー」 2025年3月4日放送)