広島県呉市の小中学校では2024年夏から、本格的に「AIドリル」を導入。国語・算数・理科・社会・英語の5教科で児童がタブレットを活用して授業や宿題をするスタイルが定着しつつある。

一人一人習熟度に応じて宿題も最適化

小学3年生の算数の授業ではタブレットでAIドリルを使って学習を進めていた。

広島県呉市立横路小学校
広島県呉市立横路小学校
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ゲーム感覚で問題を解くことができ、正解だと「〇」、間違えると「?」が表示され、わからない問題ではヒントを見ることもできる。教員はプリントの回収や採点をすることなく、児童たちの理解度や問題ごとの正答率をリアルタイムで把握できるようになった。

これにより、宿題などの自宅での学習も一人一人の習熟度に応じて最適化され、児童の学習意欲や基礎学力の定着が期待される。

AIドリルの特徴をまとめると…
1,リアルタイム採点:正解なら「〇」、間違えると「?」が表示
2,習熟度に応じた出題:苦手な問題を繰り返し練習できる
3,教員の負担軽減:採点・集計が不要になり、児童への対応に時間を使える

児童は「タブレットだけではなく、紙も残して!」

児童らの反応は様々だ。

「使いやすい」「わからないときにヒントが出るのが便利」と前向きな反応がある一方で、「紙の方が、えんぴつが動きやすいから好き」という声も。

また、「もっとタブレットが増えたらいいと思うか」という質問にある児童は「いまのままでいいと思う。紙とタブレット両方使いたい」とこたえていた。

授業の中で、デジタルとアナログのバランスをどう取るかが課題だが、多くの児童がデジタルと紙の両方を使う「ベストミックス」が理想と考えていることが分かった。

教員は「手書きとデジタル、両方の良さを活かす」

教員の立場からも「適切な使い分け」が必要だという声が上がっている。

呉市立横路小学校の柘植翔太教諭は「漢字など形をしっかり覚えるものは紙のノートで練習し、反復学習などはAIドリルで。すべてデジタルになってしまわないほうがいいと思う」と話す。

教員の側からみると、採点などがデジタル化で省力化されたことで生まれた時間を活かし、児童一人一人に細かく対応できるようになったことも、大きなメリットだ。

「デジタル×アナログ」のベストミックスを

一方、文部科学省の作業部会では、紙の教科書と同じ内容の「デジタル教科書」を「正式な教科書」とすることを検討中で、今後、タブレット学習の割合が増えていく可能性が高い。

ただ、タブレットの利用で、Wi-Fi環境の有無による「学習格差」や視力や集中力の低下といったリスクがあることに留意する必要もある。

教育現場では、デジタル化のメリットを活かしつつ、紙のノートや教科書などアナログなツールも適切に活用して時代に即した学び方が求められている。

(テレビ新広島)

テレビ新広島
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