特定の参加者を上部に固定表示

オンライン会議に上座はあるのだろうか?

新型コロナウイルスの影響でテレワークが進み、一気に広まったオンライン会議サービス。その中の1つ「Zoom」に、9月から追加された新機能が注目を集めている。

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オンライン会議の画面では、これまで参加者全員を表示する場合、入室順に参加者が表示されていたが、新しい機能では、特定の参加者を上部に固定表示することが可能になった。

これが、日本のビジネスマナーである上座・下座の文化に配慮したものではないかとネットで話題になり、「こだわるポイントが違う」という声や、「余計なマナーが増えるのでは」といった声も上がっている。

サービス関係(20代女性):
できるだけ上司は上の方にいらっしゃった方が、見下している感じは出ないと思う

金融関係(50代男性):
(上司の固定表示)いらないですよ。(上座を意識したりする?)ないですね

旅行関係(20代男性):
大反対ですね。そもそもオンラインしているメリットって、気軽につながれたりというところだと思うので…

今回の機能を付けたZoom日本法人は「話題とされている『上座機能』を追加したという認識は弊社ございません。この新機能により、あらかじめ会議の進行役発表者などを、必要に応じて固定配置しておくといった使い方が可能となります」としている。

一般的に、会議室では、入り口から最も遠い席が上座となるが、そもそもオンライン会議では「上座」はあるのだろうか?

テレワークマナーについての著書がある西出ひろ子さんに聞いた。

オンライン上で上座や下座はない

西出ひろ子さん:
特にオンライン上上座下座があるという決まりごとは全くないです。どこが一番の上座なのか、誰が決めるのかなとか正直思うんですね

西出さんは、「マナーとは決まりごとではなく相手への気遣い」「相手が望めばその場所が上座になる」といい、「メンバーが気持ちよく会議を行えるようにすればよい」と話す。

西出ひろ子さん:
あまり席次にこだわることなく、仕事をスムーズに生産性を上げていく、そういうことに意識を持った方がいいと思うんですね

オンライン会議での戸惑いや困ったケースについて、働く人は…

働く人のホンネ

サービス業(20代女性)
私がまだ後輩なので、20分前には入室し、退出も上司の方が退出されたのを見計らって「失礼します」と退出ボタンを押しています

旅行関係(20代男性)
大事な会議はちゃんとした格好で、それ以外はだいたい私服です。同じくらいの年の人と会議が夜7時以降になることも多いので私服で会議しています

事務職(30代女性):
メイクは今の時期はマスクをするので楽です。眉毛を描いて、目だけです。
(メイクとかは?)仕事なのでそこはした方がいいと思います。切り替えもできると思うので…

営業職(40代男性):
自分が話しているときに相手の反応がないと、伝わっているのか不安になる部分があるので、直接お会いできていなくて音声がミュートになっていると、会議にちゃんと参加しているのか分かりづらい。逆の立場で考えると参画意識をより持つためにわざとオーバーリアクションをとるよう意識しています

金融関係(30代男性):
最初の頃は顔が画面に近すぎて、暑苦しいと言われました。あと自宅では背景を付けています。自分では住めないような(豪華な)家の背景を…

「服装・相づち・退出」のマナーは?

三田友梨佳キャスター:
いろいろな工夫がされているようですが、みなさんが手探りで行っているオンライン会議のマナーについてマナー講師の西出さんに改めて伺いました。

●服装は、実際に会う時と同じ服装が望ましい。
●相づちについては、声を出さずに頷くなど大きめのジェスチャー
●退出のタイミングは「お先に失礼します」などの言葉を添えて上司よりも先に退出しても差し支えない

ただ、状況や立場で変わる場合があるので、相手への気遣いが大切だと指摘しています。

ツールに合わせて働き方の見直しを

三田友梨佳キャスター:
オンライン会議に慣れていないために頭を悩ませている方も多いようですが、石倉さんはどんなアドバイスがありますか?

(株)キャスター取締役COO・石倉秀明氏:
配慮や気遣いが大事なことはもちろん変わらないのですが、今までやってきたことをツールに求めるというよりは、ツールに合わせて自分たちのやり方を新しくできるかが本質的には大事だと思います

(株)キャスター取締役COO・石倉秀明氏:
マナーの点においては、ツールの使い方を知らないがために起きているエラーに気をつけることの方が大事だと思います。例えば、ZoomだとURLの発行者が許可しないと入室できない設定やパスワードを付けたりできるのに、それをしないまま誰でも入室できるURLを配ってしまったり最新バージョンを使っていないなどがありがちなパターンです

(株)キャスター取締役COO・石倉秀明氏:
また、ツールの使い方が分からなくて会議に遅れてしまう方に出会うこともあると思います。これが対面のアポイントだと考えると、本来は事前に相手の住所を調べて遅れないように行動することが当たり前とされていますよね。オンライン会議でも一緒で、遅刻しないようにツールを調べて準備するといった基本的なことの方が大事だと思います

三田友梨佳キャスター:
ツールの上手な使い方はどのように行っていますか?

(株)キャスター取締役COO・石倉秀明氏:
働き方がより良くなっていくような使い方が大事だと思います。例えば、Zoom​は40分間無料で使えるので、会社の会議自体を40分間に変えてしまうとか、ブレイクアウト機能というのがあって、ランダムに人の組み合わせができるので、それによって普段話さない人同士のコミュニケーションを活性化させることができる。ツールを使うことで新しく豊かな働き方をする方向に向かって行ったらいいなと思います

三田友梨佳キャスター:
様々な機能をどう使うかは個人の判断になりますが、オンライン会議での自由で円滑なコミュニケーションは大切にしたいものです。

(「Live News α」9月10日放送分)

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