あまりに突然訪れた春本番の暖かさ。2日、東京・渋谷では、ティッシュを出して鼻をかむ人の姿が多く見られた。

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――鼻かまれていたんですけど、どうされた?
男性:
すごい花粉症ヤバくて、メチャクチャ重度の花粉症なんですけど…。

女性:
もう起きた時から鼻水止まらないです。

千葉から来た学生:
東京に来ると(鼻が)ムズムズします。

さらに、何か薬を飲む人も…。

男性:
外に出たら、やっぱり花粉すごくて。ずっと鼻がずうずう、くしゃみも出てて。

――何でマスクしてこなかったんですか?
男性:
めっちゃ油断しました。

多くの人が苦しんでいたのが、花粉症。しかし、東京都心部のスギ花粉の飛散数を見ると、スギ林がある青梅市エリアと比べても約3分の1にすぎない。それなのになぜ、都心部でこれほど花粉症の人が多いのか?

Mr.サンデーは、40年以上に渡り花粉を調査している遠藤耳鼻咽喉科・アレルギークリニックの遠藤朝彦院長監修のもと検証した。

外皮が破れ、中の物質が外に…都心部の花粉の“盲点”

向かったのは、スギ林が広がる東京西部の青梅市。都心部への花粉の飛散元となっているエリアの一つだ。

この青梅市と都心部の港区で、花粉が多い午前11時から3時間、それぞれワセリンを塗ったスライドガラスを屋外に置き花粉を採取した。

そして3時間後…。

青梅市で花粉を採取したスタッフ:
少し粒子のようなものがついているような気がします。

青梅市と港区で花粉がどれくらい付着したのか?遠藤医師に見てもらうと…。

遠藤耳鼻咽喉科・アレルギークリニック 遠藤朝彦院長:
これもスギ花粉です。綺麗な花粉だと思います。

溶液で染色すると現れたスギ花粉。その数を数えると、青梅市は1センチ四方に185個。これに対し、港区はわずか16個と、確かに圧倒的に少ない。

だが、1つ1つの粒を見ると、都心部の花粉にはある特徴が見られた。

遠藤耳鼻咽喉科・アレルギークリニック 遠藤朝彦院長:
花粉外側の皮、外皮ですね。これが破れて中身が出てきているんですね。ぶどうの中身を食べる時にペっとつぶすと中身が丸く出てくる。あの感じだと思います。

スギから飛散して間もない青梅市の花粉はきれいな丸い形。対して、都心部の花粉は、一部が割れているものがあり、そこから中の物質が外に出ているものもあった。

大気汚染物質などで“花粉爆発”状態に

花粉症治療の権威、日本アレルギー協会理事で日本医科大学大学院の大久保公裕教授によると、アレルギーの原因となる花粉がこうして2つに分かれることで、より花粉症の症状が重くなる可能性があるという。つまり、これが花粉の飛散数が少ない都心部で花粉症に悩む人が多い理由。ではなぜ、都市部の花粉は2つに分かれてしまうのか。

日本医科大学大学院教授・日本アレルギー協会理事 大久保公裕氏:
東京の花粉は、東京の大気汚染物質とかがくっついたり、傷がついたりするんですね。このために花粉が割れる“花粉爆発”みたいな状況になる。

花粉が都市部へ飛来する中で大気汚染物質などが付着すると、表面にヒビが入る。そしてそこに、雨などの水が入ることで中身が外に出てしまう。また、路上などに落ちた花粉が人に踏まれたり、車にひかれたりすることで細かくもなるという。大久保教授はその対策をこう語る。

日本医科大学大学院教授・日本アレルギー協会理事 大久保公裕氏:
(都市部の花粉は)1ミクロンぐらいまで破砕されます。それがマスクの隙間を通ったり、表面も通りやすい状況になっていますので、マスクの中に、直接鼻に入ってくる部分、そこにガーゼでくるんだ綿を置いておくと、1個置くだけで鼻の中に入ってくる花粉というのは減りますんで、症状は軽くなっていくというふうに考えます。
(「Mr.サンデー」3月2日放送より)

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