国会で27日、旧安倍派の政治資金トラブルを巡り、会計責任者の松本淳一郎氏への聴取が行われた。松本氏は2022年8月の会合でキックバック再開を求められたと証言。一方で、現職幹部らは「会議で結論は出なかった」と否定しており話が食い違っている。真相解明へ向け、さらに詳しい調査が求められている。

会計責任者「キックバック再開求められた」と証言

旧安倍派の政治資金の不記載問題で会計責任者の参考人聴取が行われ、会計責任者は派閥幹部からキックバックの再開を求められたと明らかにした。

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衆議院の安住予算委員長らは、27日午前、旧安倍派の会計責任者の松本淳一郎氏から参考人として聴取を行った。

安住予算委員長:
2022年7月に再開したらどうだという風に話をしてきた幹部がいたことは事実であると。ただ大変申し訳ないが、名前は今は言えないと。

聴取で、会計責任者の松本淳一郎氏は「キックバックの再開は安倍派幹部が求め、2022年8月の会合で決まった」と証言したという。

さらに再開を求めた幹部について「今は現職ではないと思う」と話した。これまで旧安倍派の幹部は、関与を否定していて、認識が食い違う形だ。

会合に出席していた当時の幹部
会合に出席していた当時の幹部

会合には当時、落選中の塩谷元文科相、下村元文科相、現職の西村元経産相、世耕前党参院幹事長が出席していて、下村元文科相は27日、自身のSNSで「還付再開を決定した場にいた事実はない」と関与を否定している。

「現金還付決まった認識ない」元閣僚らの言い分一致せず

ここからは、フジテレビ政治部・高田圭太デスクが解説する。

青井実キャスター:
安倍派のキックバック再開を巡る新証言は、問題解明につながるのでしょうか。

高田圭太政治部デスク:
2022年8月の安倍派幹部会合でキックバックの再開が決まったのかどうか、出席した5人のうち西村氏・世耕氏・下村氏の3人は政倫審で「会議で結論は出なかった」と説明していました。一方で、塩谷氏は「話し合いの中で、継続になった」としていて、発言内容の違いに野党から批判の声が出ていました。

そして、当時、会計責任者として出席した松本氏は、裁判の中で、「(2022年7月下旬に)ある幹部から再開を求められ、(2022年8月の)幹部会議で継続が決まった」と述べていました。

青井キャスター:
このように幹部会合に出席した5人の中で食い違いがあったわけですが、松本氏は27日改めて、8月の会議で「キックバック再開が決まった」と証言したわけですね。

高田政治部デスク:
そうです。しかし先ほど、西村元経産相と世耕元経産相がコメントを出して、これを否定しました。2人のコメントの共通点としては「8月の会合で現金還付が決まった認識はない」ということです。

なぜなら、8月の会合では還付の代替策として 議員個人のパーティー券を派閥が買う案も議論しており、その後、議員パーティー開催予定を確認した。つまり、会合後も他の手段を探っていたため、キックバック再開は決まっていないと主張しており、真っ向から対立しています。

青井キャスター:
また食い違っている感じですね?

高田政治部デスク:
正直、どちらが正しいか分かりませんが、2022年8月の会合の受け止めがそれぞれで食い違っていた可能性もあります。

青井キャスター:
そしてもう一点、7月に松本氏にキックバック再開を求めた幹部について、松本氏は27日「名前は言えない」としたものの、「今は現職ではないと思う」と答えました。つまり、今、現職でないのは、下村元文科相と塩谷元文科相のどちらかということになりますよね。

高田政治部デスク:
まさに、この二人のうちのどちらかということで、安住氏も断言しています。下村氏が、コメントを出しまして「私は関与していないし、指示していない」と言っていますが、若手らから「還付再開してほしい」という声があったというのを松本さんに言ったという可能性はありまして、それを松本さんが「再開してくれ」という風に受け止めた可能性もあると思います。

ただ、まだ塩谷氏も今回のコメントを出していないので、もう少し詳しく分からないと何とも言えないかなと思います。

松本氏が明確な証言をするかがカギに

宮司愛海キャスター:
分からないことも多いですが、仮にお二人だとしてもまだ現職ではないので、今後の聞き取りなどはどういう風になりますか?

高田政治部デスク:
何らかの方法で確認したいと言っているので、今回の松本氏のように国会に呼ぶこともできなくはないのです。しかし、まだ国会ではそこまでいっていません。ただ、二人のどっちかまでいっているので、何とかはっきりさせてほしいなというのが国民の感情だと思います。

SPキャスターパックン:
二人が今疑われてるなら、本当にやってない方は早く言ってほしいと多分思ってると思います。名指しはこの先ありそうですか?

高田政治部デスク:
そこまでは、政治家同士も助け合っているところもあるので分かりません。松本氏がはっきり言うのが、本当は一番分かりやすいですね。

青井キャスター:
誰がやったか、どういう話なのかということは気になるところもありますが、我々は政治とカネの問題をよく見ていなきゃいけないなという風に思います。

法改正は行われたが、今後もこのようなことが起こらないか、常に厳しく見ていく必要がありそうだ。
(「イット!」2月27日放送より)

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