高校授業料無償化をめぐり、自民・公明と維新が合意したものの、国民民主党が訴える「年収の壁」178万円への引き上げは見送られた。
これにより、年収850万円までの人を対象に最大160万円まで引き上げる公明党案が優位になった。
国民民主党は参院選を意識し、さらなる拡大を主張するとみられる。
国民民主党の「178万円案」に暗雲漂う
高校授業料の無償化などをめぐって、自民・公明と日本維新の会が合意した。
もう1つの焦点、国民民主党が主張する「年収の壁」の協議はどうなるのだろうか。
フジテレビ政治部・高田圭太デスクが解説する。

青井実キャスター:
国民民主党は、年収制限なく178万円まで引き上げを主張しています。自民・公明は妥協案を探るべく、協議を続けてきました。そんな中、公明党から年収850万円までの人について、最大で160万円まで引き上げるという案が出てきていました。
ーー結局、178万円に引き上げる可能性はないんですか?
フジテレビ・高田圭太政治部デスク:
もうなくなりましたね。そもそも自民・公明としては、最初123万円と言っていて、2025年に入り自民党が最大160万円というのを出しました。その後、公明党がさらに年収850万円までに広げて最大160万円を提示しました。これだけ歩み寄ったのだから、これ以上譲れないというのが与党側の本音です。ですので、178万円というのは難しい状況です。事実上決裂となりました。

政治部・高田デスク:
26日午後4時過ぎに行われた自公国の税制協議が、先ほど終わりまして、年収の壁については合意できていないということでした。自民党は、26日がタイムリミットなので、最終結論をくださいと言って、国民民主党が持ち帰りましたが、その場で与党が、「このまま合意できなかったら公明党案を提出します」と言ったんです。協議自体は決裂か、または決裂はお互いにあまり良くないので、場合によって協議継続で、ほかにもガソリン税とかもありますので、ここのところが最終調整かなと思います。
青井キャスター:
ーー公明党案が通るかということですが、どうでしょうか?
政治部・高田デスク:
通りますね。自民・公明に加えて、25日に予算に賛成すると言った維新が賛成します。これで過半数がありますので、審議を通って公明党案で年収の壁というのが引き上げられるということが、ほぼほぼ固まったと思います。

青井キャスター:
ーーただ、維新が自民・公明につきますと、国民民主は公明党案だと反対に回るということになるわけですか?
政治部・高田デスク:
そうですね。やはりこれまで年収制限は応じられないということで、反対に回るということなんですが、ただよく考えますと、国民民主がずっと、「年収の壁」引き上げを言ってきたわけです。
だから引き上げたいのだけれども、今回その一番言っていた国民民主がある意味賛成できず、ほかの維新とかが引き上げるのをなぜか反対に回らざるを得ないという点で、最終的にどういう判断するか分かりませんが、少なくとも賛成はできないという、非常に苦しい皮肉な状況になっています。
「私たちにもっと議席を」参院選を見据えた国民民主の戦略
青井キャスター:
ーーこの後の参院選には、影響はないですか?

政治部・高田デスク:
やはり参院選を見据えると、損得と言いますか、中途半端な妥協をしては良くない、国民民主党の選挙にとっても損だし、国民にとっても損だと考えていると思われます。だったら、年収制限なしの178万円を掲げ続けて、「私たちにもっと議席をください」と参院選で訴えた方が国民民主党にとっても得で、国民民主党から見ると、国民全体にとっても得じゃないかという立場なんですね。
宮司愛海キャスター:
ーー160万円の公明党案が通ったとして、これが4月から適用されることになるわけですね。その後も国民民主党は、178万円を引き続き主張していくのですか?

政治部・高田デスク:
そうですね。私たちがもっと議席を取れば参院選で局面が変わるよという主張はするでしょうし、そもそも今回、200万円から850万円の非課税枠の人の上積みは2年間だけなんです。その後どうするかという協議も、いずれにしてもしなければいけないので、どういう枠組みでするかは分かりませんが、協議自体はいろんな形で続きます。
青井キャスター:
ーーパックン、この議論はどう見ますか?
スペシャルキャスター パトリック・ハーランさん(パックン):
これで参院選に向けて、どう戦うのかという選挙戦略が見えてきてるかなと思います。与党は財政を守りながら、ある程度壁を引き上げます。一方、国民民主党は家計を助けるためにはもっと思いっきり引き上げろっていう、この姿勢にこだわり続けるということなんですね。
青井キャスター:
ーーあと、立憲民主党はどうするのでしょうか。
政治部・高田デスク:
この法案というのは、実は予算全体と関連づく法案なので、立憲はおそらくこのままですと予算には反対ですから、「103万円の壁」に関する賛否とは別で、法案自体には反対に回る可能性の方が現時点では高そうですね。
(「イット!」2月26日放送より)