障害があり、全介助が必要な20代女性に対する準強制性交等の罪など6つの罪に問われている元介護職員の男の判決公判が新潟地裁で開かれた。検察側は男の一連の行為は「鬼畜の所業」と非難し、懲役18年を求刑。こうした中、新潟地裁が下した判決は懲役14年だった。最後に裁判員が男に送った言葉とは…
介護職を悪用して20代女性に性的暴行
準強制わいせつ・準強制性交等未遂・準強制性交等・不同意性交等・性的姿態等撮影・不同意性交等致傷の6つの罪に問われている元介護職員の細海敏也被告(44)。

起訴状などによると、細海被告は2019年から約4年半の間、重度の障害があり、全介助が必要で抵抗ができない20代女性に対して、デイサービスの送迎時に自家用車を三条市内のパチンコ店の駐車場に止め、その車内でわいせつな行為や淫らな行為を繰り返し、またケガを負わせ、その行為を動画撮影した罪などに問われている。
今回の裁判では、細海被告が警察に自首した2023年12月14日の事件以外の事実について自首が成立するか否かと量刑が争点になっている。

2月19日に開かれた論告で、検察側は抵抗できない状態の女性に対する細海被告の一連の行為について「鬼畜の所業」と断じ、懲役18年を求刑した。一方の弁護側は、自首による減軽を求めた。
自首は成立すると認定も…
こうした中、2月21日に新潟地裁で開かれた判決公判。
新潟地裁の小林謙介裁判長は、2023年12月14日の事件以外の事実について自首が成立するか否かという争点に対して、自首は成立すると認定した。

しかし…
新潟地裁 小林謙介裁判長:
「被告人が犯行の重要な証拠である犯行状況を撮影した動画等を削除した後に自首したもので、捜査機関はそれらの復元作業を余儀なくされるなどしたことに照らせば、被告人の自首が犯罪の捜査や犯人の処罰に大きく寄与したとまでいえず、自首減軽は相当ではないとした」
「被害者の人格や尊厳を顧みない犯行」と断罪
争点についてこう説明した上で、介護職を悪用した極めて悪質な犯行だと厳しく非難した。
新潟地裁 小林謙介裁判長:
「約4年半もの長期間にわたり、介護職として被害者を自動車で送迎する機会を利用し、被害者が障害のため抵抗したり、被害を申告できないことに乗じて犯行を繰り返したことは卑劣である。自身の性欲の赴くがままに被害者の身体を弄び、さらにはその様子を撮影し、後で使用するため動画を編集するなど、被害者を性欲のはけ口としてしか見ていない。その人格や尊厳を顧みない犯行であった。被害者は何ら抵抗できないまま多数回にわたり、その都度性的自由を著しく侵害されたほか、精神的にも大きな苦痛を被った。被害者の親族が厳罰を求めるのも当然と言える。介護職の立場を悪用し、職業倫理に反して犯行を繰り返した点も看過しがたいものといえる」
こう断罪した一方で、自首が成立していること、被告人がスマートフォン等の動画データを削除した経緯はあるものの、それらを隠さずに捜査機関に提出するなどしたことが事案の真相解明に寄与したと認められることに加え、事実を認め反省の態度を示していることなどを考慮した結果、細海被告に懲役14年を言い渡した。

最後に裁判員からの言葉が読み上げられた。
「本件のことにより被害者や被害者家族は一生苦しみ続けます。刑の服役中も含め一生真摯に反省して二度と繰り返さないようにしてください。今回の法廷で謝罪文などについては積極性に欠けるものだったと思います。積極的に気持ちも行動もして、反省してほしいです。自分自身で自分を律してコントロールしてほしいです。強い気持ちで自立心をもって生きてほしいです」
(NST新潟総合テレビ)