都心のスマートシティ

東京の竹芝エリアに、スマートシティへとつながる最先端のビルが公開された。

ソフトバンク・宮内謙代表取締役社長:
最先端のテクノロジーを体験できる場所にするという意味で、竹芝を盛り上げていく。

ソフトバンク・宮内謙代表取締役社長
ソフトバンク・宮内謙代表取締役社長
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9月9日、報道陣に公開されたのは、9月14日に開業する「東京ポートシティ竹芝」。

敷地内にスマートキーなど、最新設備を備えたレジデンス棟も有する、都心のスマートシティだ。

スマートシティとは、最先端の情報通信技術などを駆使し、生活インフラやサービスを効率的に管理し、環境に配慮しながら人々の生活の質を高める新しい都市のこと。

センサーやAIカメラで混雑解消

都心のオフィスビルが抱える課題の解消を目指す、竹芝のスマートシティ。

ビルの中では、警備ロボットや配達ロボット、お掃除ロボットなど、至るところに様々なロボットがあった。

エレベーターで移動する警備ロボット
エレベーターで移動する警備ロボット
コンビニから出てきた配達ロボット
コンビニから出てきた配達ロボット

来館者向けのディスプレーには、飲食店の空き状況や、現在のトイレの空き部屋数まで表示されている。

地上40階建てのオフィスタワーには、1000台を超えるセンサーやAIカメラを設置。

ビル内の混雑状況がリアルタイムでわかるため、都心のオフィスビルが悩まされてきた混雑を解消できるほか、オフィスの入場ゲートは顔認証でエレベーターの行き先を判別し、自動的に振り分けることで渋滞を解消する。

また、エレベーターはウィズコロナの時代に合わせ、仕様を変更した。

東急不動産 都市事業本部 ビル事業部・仲神志保部長グループリーダー:
元々は、たくさん乗せてたくさん運ぶことを計画していたものを、逆に密になっていないかどうかを見るセンサーに切り替えました。

このほか、天気情報や人の流れ、交通状況、イベント情報などとも連動し、竹芝地区に滞在する人が求める最新の情報を常に提供し、より豊かな生活を支援する。

竹芝で得たノウハウは、今後、ほかのスマートシティにも生かすとしている。

東急不動産 都市事業本部 ビル事業部・仲神志保部長グループリーダー:
管理手間を減らしていき、将来的にはコスト削減につなげることができると考えている。

このオフィスタワーには、ソフトバンクグループの本社も移転が決まっていて、ビル内に5Gネットワークを整備し、超高速大容量を生かした最先端技術で、さらなる効率化や快適な環境整備を目指す。

発展にはソフト面の進化が重要

三田友梨佳キャスター:
竹芝のスマートシティは、これまでの街づくりや再開発とは何が違うのでしょうか?

IoT・AIの専門メディア IoTNEWS代表・小泉耕二氏:
これまでの日本では、新しいテクノロジーを単発で取り入れたり、1つのビルや限られた敷地の中をスマート化した例がありましたが、街全体の規模でやっている例はなかなかありませんでした。でも、中国では5Gや最新技術を活用した街づくりの実験を先行してやっています。

今回の例を見ると、近い将来、我々が道を歩いていて、そこにデジタルサイネージがあって、ランチのお店を検討していたら「ここが空いているよ」と教えてくれたり、家に帰ろうとした時に電車が混んでいるとか、雨が降るから傘を持っていった方がいいなど、その人に必要な情報が自然に入ってくる、新しい暮らしが実現されるかもしれない。そのようなテクノロジーの活用を広い街の中で試せるのは大きいと思います。

三田友梨佳キャスター:
スマートシティを成功させるためには、どんなことがポイントになりますか?

IoT・AIの専門メディア IoTNEWS代表・小泉耕二氏:
箱物的なハードはどうしても老朽化しますし、時代遅れにもなってしまいます。ここで働いて暮らす人の世代が変わっても発展する街をつくるためには、ソフト面の進化が重要だと思っています。

実際にここで働いてみたり、住んでみたりしないと、どういうことが便利で何が課題かがわからない。街を運営される企業は、竹芝の人々の行動や感じ方を観察して分析し、新たな取り組みに繋げていくことが重要だと思います。そして、見えてきた課題をクリアするためにトライアルアンドエラーを繰り返して、新しい街づくりのノウハウを獲得して他のところにも展開してほしいです。

三田友梨佳キャスター:
このスマートシティからどんな文化が生まれるのか楽しみですし、今後のモデルケースとなるのか注目されます。

(「Live News α」9月9日放送分)