政府が進めている「高額療養費制度」の自己負担額の引き上げについて20日、患者らが会見を行った。
がんの治療を受けながら子育てをしている女性は、「がく然とした」と現在の心境を語った。

「一番苦しいところ狙っている」

がん患者たちが、会見で今の心境を語った。

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子どもをもつ40代がん患者:
40代の肺腺がんステージ4の患者です。高額療養費の引き上げが決まるかもしれないというニュースの一報を見たときに、本当にがく然として家でひとりで泣きました。
え、やっぱり病気になっちゃった私がいけないの、家族にこれ以上迷惑をかけるのと。

子どもをもつがん患者:
卵巣がんステージ4bと大腸がんになります。
命の問題をすごく軽視したような、こういう嫌なやり方をすることに対して、とても悲しい気持ちになりました。

20日、がんの治療を受けながら子育てをしている患者が記者会見し、政府が進める「高額療養費制度」の自己負担額の引き上げについて、今の心境を語った。

「高額療養費制度」とは、手術や入院などで医療費が高額になった場合、自己負担額を抑える制度で、年齢や年収などにより上限が決められている。

たとえば、70歳未満で年収約500万円のAさんが、1カ月に100万円の治療費がかかった場合、現在の自己負担額の上限は約8万7000円。
それが、2025年8月からは8000円ほど引き上げになる。
所得区分も細分化され、年収が上がるとさらに引き上げ額が増える。

政府は先週になって、1年に4回以上の場合は上限を据え置くと修正したが、20日の会見では、批判的な言葉が相次いだ。

がん患者・水戸部裕子さん:
最初の3カ月が一番苦しくて、手術があったり放射線治療があったり。一番苦しいところを狙っているというところも、すごくやり方が汚い。

子どもをもつがん患者:
子育てを諦めなくてはならない人が、ますます増えてしまうのではないでしょうか。
これが、石破首相の言う“楽しい日本”なのでしょうか。

会見に先立ち、厚労省の保険局長に約5万8000人の署名を提出した。

この問題を巡っては、島根県の丸山知事が18日に…。

島根県・丸山達也知事:
国家が国民に対して、治療を諦めざるを得ないっていう状況を制度的に作るということは、国家的殺人だと思う。

政府は今後もがん患者に対し、説明を続けていく方針だ。
(「イット!」2月20日放送より)