ファミリーマートが韓国コスメ市場に参入し、hinceと共同開発した「hana by hince」を3月から限定販売する。目的買いの若者層を狙い、化粧品売上20%増を目指す。韓国コスメ市場は拡大中で、大手コンビニの広範な店舗網が販路拡大に貢献。専門家は、SNS活用と手軽さを強みに、持続的なヒットを狙う戦略が注目ポイントとなると指摘する。

ファミマ “若年層向け”韓国コスメで新戦略

ファミリーマートが韓国コスメに参入。狙いは「目的買い」の若者たち。

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17日、ファミリーマートが発表したのは――。
「10代から20代のお客様に向けてアプローチした新ブランドを展開します」

日本でも直営店を展開する韓国の人気コスメブランド「hince(ヒンス)」と共同開発した商品「hana by hince(ハナ バイ ヒンス)」。3月からファミリーマート限定で発売する。

発表会ではトレンド感あるメイクの実演も
発表会ではトレンド感あるメイクの実演も

発表会では、大粒のラメやツヤ感といったトレンドを意識したメイクの実演も披露した。

韓国コスメへの参入の背景にあるのが、“あると便利”な「緊急買い」から“あれが欲しい”「目的買い」へのシフトだ。

ファミリーマート 商品本部 CW・雑貨部・上村朋美さん:
今まで衣料品は緊急買いが非常に多かったが、最近は目的買いのお客さんが非常に増えています。ファミリーマート全体としてもそういったオリジナルの商品は力を入れていて、hana by hinceがあるからファミリーマートに行こうというお客さんを増やしたい。

韓国コスメを新たな「目的買い」を生む商品にする狙いだ。

財務省の貿易統計によると、韓国からの化粧品輸入額は年々増加し、2022年にはフランスを抜いて1位に。2023年には約960億円と、この5年で約3倍に増えている。

大手コンビニでは、既にローソンやセブン-イレブンが韓国コスメを展開し、若年層を中心に売り上げを伸ばしている。

ファミリーマート 商品本部長・島田奈奈さん:
韓国コスメは品揃えの中では全客層をとっていくこと考えると、品揃えしなくてはいけない状況。コンビニ最後発とはなったが、一番いいブランドと組むことができた。

ファミリーマートは新たなコスメブランドの立ち上げで、化粧品の売上高を20%以上増加させることを目指す。

コンビニの圧倒的店舗数を活用した販路拡大

「Live News α」では、消費経済アナリストの渡辺広明さんに話を聞いた。

堤礼実キャスター:
渡辺さんはコンビニのバイヤーをされていましたが、今回の動きをどうご覧になりますか。

消費経済アナリスト・渡辺広明さん:
私はコンビニのバイヤー時代、長くコスメ担当をしていたんですが、元々、コンビニのメイクは急なお泊まり用に、1980年後半からリップとネイルを日本の大手メーカーやプライベートブランドとして販売されていました。

2000年に入り、コンビニ限定のトータルメイクアップブランドが発売され、定番化してから四半世紀が経ち、トレンドメイクがコンビニで売れるようになったのはすごく感慨深いです。

堤キャスター:
メーカーにとっても、コンビニで販売するメリットがあるわけですよね。

消費経済アナリスト・渡辺広明さん:
韓流ブランドは日本においてプラザやロフトなどのバラエティストアで火がつき、ドラッグストアでの販路拡大が基本となるが、限定ブランドや限定商品に関しては今回のファミマや、セブン-イレブン、ローソンなどの大手コンビニで発売される場合が多いです。

理由としては、大手ドラッグストアでも店舗数が2500〜3500くらいなのに対して、大手コンビニの店舗数が1万5000店舗程度から2万1000店舗強の店舗網があるため、メーカーが適正価格で販売するために、製造ロットが見合うからです。

また、コンビニでブランドを展開するにあたって、拡大すれば、次のステージをメーカーとして狙う時には必須になると思います。

さらに、コンビニは全国津々浦々に店舗網があるため、誰でも気軽に買える売り場があるのも、メーカーにとっては魅力的ではないかと思います。

手軽さ×SNS戦略が持続的ヒットのカギに

堤キャスター:
今回のブランドは若年層にターゲットを絞ったということですが、どうご覧になりますか。

消費経済アナリスト・渡辺広明さん:
10〜20代にターゲットを絞ったのは、大変珍しいブランドとなっていますね。若年層は SNSでの情報を重視するため、スイーツなどでSNS発信での接触の多いコンビニとは相性が良いと思います。

今回のブランドは新しいチャレンジが詰まっています。今後、継続的に売れるブランドになるためには、時代に合った新しい商品やコミュニケーションが必須となり、マーケティング的にはそのあたりが注目ポイントとなりそうです。

堤キャスター:
韓国コスメには質感や価格など、日本のコスメとはまた違った良さがあるように思います。ここにコンビニで買えるという手軽さが強みとなり、新たなトレンドとなる可能性にも期待したいです。
(「Live News α」2月17日放送分より)