北朝鮮による拉致被害者・有本恵子さんの父・明弘さんが15日に老衰のため亡くなった。
96歳だった。

帰国を果たせていない拉致被害者家族の“親世代”で1人存命となった横田めぐみさんの母・早紀江さん(89)が先ほど会見を開き、有本明弘さんへの思いを語った。

有本明弘さんの死去を受け会見する横田早紀江さん(89)
有本明弘さんの死去を受け会見する横田早紀江さん(89)
この記事の画像(45枚)

横田早紀江さん(午後2時半ごろ):
やっぱり間に合わなかったって、まず思いましたね。かわいそうだなぁと思って、本当に一目会わせてあげたかったっていうのだけはいつも思ってたから、私もどうなるかわからないなぁって思いで、本当に悔しいですね。

娘・恵子さんとの再会果たせず

有本明弘さんの三女・恵子さんは、ロンドンに留学中の1983年、仕事を紹介するとだまされ、北朝鮮に拉致された。

5年後の1988年に恵子さんが北朝鮮にいることが分かって以来、明弘さんは妻の嘉代子さんとともに活動を行ってきた。

2002年に小泉首相が訪朝し、北朝鮮が拉致を初めて認め、5人が帰国したが、恵子さんら8人については「死亡している」と説明していた。

しかし、これを裏づける証拠はなく、明弘さんは恵子さんを含む被害者全員の救出を訴える署名や講演活動を精力的に続けてきた。

妻の嘉代子さんが、2020年に94歳で亡くなった時には記者会見で涙を何度もぬぐいながら、「言葉が出えへん。今は無理や。言葉が出えへん」と話していた。

明弘さんはその後も娘の一刻も早い帰国を求めていたが、再会は果たされることなく15日に亡くなった。

拉致被害者“親世代”で存命は横田早紀江さん(89)だけに

有本さんの遺族で恵子さんのきょうだい5人は、兵庫・神戸市内で会見を開いた。

有本明弘さんの長男・隆史さん(62)(神戸市・午後1時ごろ):
これまで政府関係者、支援団体をはじめ、多くの方々に励ましやご支援をいただきながら、北朝鮮に拉致された恵子を取り戻すため運動を続けてきた父が、恵子との再会を果たすことなく亡くなったことは残念でなりません。

有本明弘さんが亡くなったことで、政府が認めている拉致被害者の親世代で存命なのは89歳の横田早紀江さんただ1人となった。

横田さんは先ほど会見を開き、今後の活動について「生きている間に言うだけのことを言って、できるだけのことをして政府に訴えて、お子さんがせっかく生まれて育っていらっしゃる人が、パッと取られてしまってもどうするんですかって。『しょうがないね』って言ってるんですかって。やっぱりそれは訴え続けなきゃいけないし、それだけを思って暮らしているので、もう別に死んだらどうしようとかって、そんなにも思わないですね」と話した。
(「イット!」2月17日放送より)

この記事に載せきれなかった画像を一覧でご覧いただけます。 ギャラリーページはこちら(45枚)