米の高騰が家計を強く圧迫する中、農林水産省が備蓄米を約21万トン放出する方針が13日、明らかになった。さらに14日、備蓄米の放出に関する詳細を公表する予定となっている。米の値上がりで負担が増すばかりの状況に、入院食を提供している病院からは悲鳴が上がっている。
入院食費用の上限は法律で決まっているが…
「イット!」が訪ねた東京・西東京市の武蔵野徳洲会病院の調理室では、昼食の準備の真っ最中だった。

武蔵野徳洲会病院 栄養管理室・土屋輝幸副室長:
これで10kg炊き上げているので、患者さん50~60人分位のご飯です。こちらがおかゆです。こちらはちょうどご飯とおかゆの間くらいの固さの軟飯です。

用意する食事は入院患者約200人分。

患者に合わせ4種類の硬さのご飯を用意しているという。
1食に使う米の量は25kg。

患者に早く元気になってもらおうと、茨城県産のコシヒカリを使うようこだわっている。

2024年に1kgあたり200円も値上げされたが、安い米には変えられないという。
武蔵野徳洲会病院 栄養管理室・土屋輝幸副室長:
(患者が)お米がちょっと違うなと思ってしまうと、他の食事も召し上がれないとか、そんなこともある。きちんと召し上がっていただけないと、先生方も退院するとか転院させる時に躊躇する要因になる。

入院食費用の上限は法律で決まっていて、2024年に30円引き上げられ、現在は1食あたり670円。2025年4月にも20円引き上げられるが、米をはじめとする食材の高騰には追いつかない状況だという。
武蔵野徳洲会病院 栄養管理室・土屋輝幸副室長:
近年まれに見る物価高騰なので、いつ価格安定するのかヒヤヒヤしながら見ている。やはり、もうプラス100円とか200円上がらないと、今後のことを考えると追いつかないのかなと。
物価高が今後も続くとなれば、彩りで添えているパセリを減らしたり、栄養価に支障のない範囲で低価格の食材に変えることも検討しなければならないとしている。
「イット!」が取材した米の卸売業者のもとには、実際、病院などから「安い米を探している」と連絡が相次いだものの、売りたくても売れるお米がないため、断らざるを得なかったという。
現在は政府が進める備蓄米の放出に、期待と不安の両方が入り混じった状況だと話す。
全日本病院協会の猪口会長「全体として赤字傾向」
米の放出を待ちわびるのは全国の病院でも同じだ。
全国約2500の病院が加入する全日本病院協会の猪口雄二会長は、病院の経営は厳しい状況にあり、米の値下がりに期待したいとしている。

全日本病院協会・猪口雄二会長:
(病院は)全体として赤字傾向ですね、5割を超えていると思います。(野菜・人件費・水道光熱費)全部が上がっているという中で、せめてお米だけ(価格が)下がれば、多少楽になる側面はある。
農林水産省が備蓄米を約21万トン放出する方針が13日に明らかとなり、14日に詳細を公表するとしているが、価格面での十分な効果が待たれる。
(「イット!」 2月13日放送)