50代以上の人を対象にした定年後のリスキリングに関する調査で、7割以上が「興味がある」と回答し、特に「新しい職業への挑戦」や「趣味を深める」ことを目的とする人が多かった。
まずは興味があることや自分の仕事に必要と思うものから「小さく始める」ことが、学びを継続していくうえでは大切だと、専門家は指摘している。

定年後の学び直しはキャリア転向・趣味の追求が目的

働く皆さんは、定年後の「リスキリング」に関心はあるだろうか。

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人生100年時代。
雇用制度の変化や定年延長が行われ、60代以降も働き続ける人が増える中、教育サイトの運営などを手がける「ベンド」が「スキルアップ研究所」で行ったのは、50代以上の人を対象にした「定年後のリスキリングとその目的に関する実態調査」だ。

「定年後のリスキリングに興味はあるか」という質問に対し、「興味がある」と答えた人は77.0%。
“定年後の学び直し”に前向きな人が多いことが明らかになった。

その目的は、「新しい職業に挑戦するため」が43.1%で、「趣味を深めるため」が26.3%。
学びたいものについては、「デジタルスキル」が34.7%で一番多かったものの、「趣味スキル」も32.3%と僅差で多く、好きなことを仕事にしたい意欲もあるようだ。

皆さんは、定年後のリスキリングについて考えていますか。

ーー定年後のリスキリングは考えている?
IT関係 (40代):
父親(75歳)がメーカーで働いていて、50歳になった時に行政書士の資格とファイナンシャル・プランナーの資格を取って、今定年後、行政書士として働いていたりするので、何かしら備えは必要だろうなと思っている。

ーーどんな学び直しをしたい?
IT関係 (40代):

昔、教師とかになりたいなと思ったり、教育に携わるものや、そういう自分が持っているノウハウとかを、ほかの人に提供できるものとかがいいかな。

ーー定年退職時どんなスキルが必要?
IT関係 (40代):
誰かが何かやろうと思ったときに声かけてもらえるような、“これだったらあの人に相談してみようかな”とか、“あの人そういえば、こういうことできたな”みたいなことを思ってもらえるようなスキルと人脈があるといい。

ーー60代のリスキリングは必要?
保険関係(20代):

必要だと思います。お金の使い方とか。セカンドライフとして、やりたいことをやっていくってために、ちゃんと把握しておいた方がいいんじゃないかなと。

ーー定年後どんな仕事をしたい?
保険関係(20代):

(趣味は)フットサルとかなんですけど、それはさすがに仕事にできないと思うので、絵を描いたりとか、そういう仕事ができればいいなと。

ーー定年後のリスキリングは考えている?
IT関係 (40代):

考えていない。なるべく働きたくないので、いかに働かずに、そこまでで(お金を)全部ためてアーリーリタイアするか考えている。(学ぶことは)疲れちゃうから、リスキリングするにしても稼ぐための学びはしたくない。学びたいことを学べるのが一番幸せかなと思う。

ーー定年後のリスキリングは考えている?
商社(40代):

定年後のやりがいみたいなところで、できたらなと思う。今自分が経理をやっていて、法律・経済系をやっているので、いきなり違うことをやるよりは、それを生かせるような資格・学びが一番いいと思う。
定年再雇用とかで、当然今の会社や別のところで雇ってもらうときに、やっぱり何かスキルを持っている人の方が、当然会社としても採用しやすくなると思う。

ーー定年後のリスキリングは考えている?
ソフトウェア関係(50代):

今のところは大学(入学)を考えている。キャリアのことはあまり考えていないが、あくまで自己啓発なのかな。ただ、これから60代超えて働く方も多いと思うので、スキルって大切なのかもしれない。
ちょうど今も英語の帰りだったが、英語を始めて、すごく面白いなと思って、学生の時よりは全然吸収力が、社会人としての経験があってからの学びだからと思うんですが、すごくそれが楽しくて、これからもずっと学び続けたいと思っている。

ーー定年後の目標は?
ソフトウェア関係(50代):

今までのスキルを生かすことが1つと、今から得るスキルを足して世の中に還元していくこと。

無料教材・初心者向け講座の充実でハードル低下

「Live News α」では、働き方に関する研究・調査を行っている 、オルタナティブワークラボ所長の石倉秀明さんに話を聞いた。

堤礼実キャスター:
ーー石倉さんも大学院で学び直しをされていますが、リスキリングの1歩をどう踏み出せばいいのか、悩んでいる方も多いかもしれませんね?

オルタナティブワークラボ所長・石倉秀明さん:
もうリスキリングというか、大人になっても新しいことを学び続けるのが必須になりつつありますよね。

その中でも、なかなかリスキリングすることにつながってない本質的な理由は、大変なことを、たくさんの時間をかけてやらないといけないと思い込んでしまっていることなんじゃないかなと思います。

堤キャスター:
ーー自分をアップデートしようと思うと、つい、構えてしまうかもしれませんね。

オルタナティブワークラボ所長・石倉秀明さん:
今回の調査でも、無料や安価な教材の必要性や、初心者向けのサポートの必要性が挙げられていました。しかし今は、無料でも学べる動画はたくさんあるし、基本的なことは本から学べることも多く、そこまでお金もかからないです。

また、初めてその分野を学ぶ人向けの講座や情報も充実しており、むしろコンテンツに関しては多すぎるくらいかなと思います。

小さく始めてコツコツ継続が成功につながる

堤キャスター:
ーー何を学ぶといいのか、これについてはいかがですか?

オルタナティブワークラボ所長・石倉秀明さん:
何を学ぶべきかわからないという人もいるかと思います。まずは興味があることや、自分の仕事に必要と思うものから始めたらいいと思います。問題は、いかに「小さく始めるか」ということです。

いきなり毎日数時間も勉強に使うのは大変で、二の足を踏んでしまう人も多いと思います。それよりも、知りたいことの本を買ってきて、1日数ページずつ読むとか、1日1つずつ関連動画を見るとか、簡単にできて続けられるところからスタートするのがいいと思います。

堤キャスター:
ーーできることから始めればいい、ということですね。

オルタナティブワークラボ所長・石倉秀明さん:
文化庁の調査でも、月に1冊も本を読まない人が6割以上いるという状況です。そういった現状だからこそ、いきなり本腰を入れてリスキリングするよりも、まずは勉強する習慣を作る、リズムを作るところから始めてみると良いのではと思います。

何事も「続ける」ということが力になりますが、1日にやらないといけないことが多いと挫折しやすいと思います。だからこそ、続けやすいように1日数分から10分でも、まずは継続することを目的にするのがいいと思います。

堤キャスター:
学び直しと聞くと、少しハードルが高く感じるかもしれませんが、自分が関心のあるものを追求しようと思うと、無理なく続けられるのかもしれませんね。
(「Live News α」2月12日放送分より)

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