百貨店などでは、バレンタインデー商戦がすでにピークを迎えている。 お気づきの方もいるだろうが、実は今、チョコレートがとっても高い。その理由を探った。

■【動画で見る】チョコ1粒平均『418円』カカオの取引価格は2年で4倍 ウイルスまん延でガーナなどの「カカオの木」大量に燃やす

■彼氏に手作りチョコ、友チョコ、婚約者へ愛情いっぱいチョコ…もうすぐバレンタインデー

2月14日は、いよいよ「バレンタインデー」。思いを寄せる人にチョコレートを渡す人もいるのではないでしょうか。

バレンタインデーに男子ソワソワ
バレンタインデーに男子ソワソワ
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街の人:作ります。(Q.誰に?)彼氏に。

街の人:友達に『友チョコ』であげる予定です。高くても買います。

交際1年でまもなく結婚する女性:(バレンタインの前に)渡しちゃったんですよ。夜勤終わった『明け』で作りました。材料買いに行って。
交際1年でまもなく結婚する男性:愛情が込もっていたなと思いました。

■「ゴディバ」は関西初のカフェをオープン

年に1度のビックイベントを前に白熱するチョコレート商戦。 ベルギーの巨人「ゴディバ」は関西初となるカフェを14日にオープンする。

目玉は、チョコそのものではなく、福井県産のそば粉にチョコを練りこんだ「カカオガレット」。

「カカオガレット“白いフロマージュ”と3種のチーズ(1420円)」をいただくと…。

記者:チョコレートの甘みとチーズの塩味が絶妙にマッチしていますね。

ゴディバジャパン 佐久間直樹さん:こちらはゴディバカフェ大阪限定でお召し上がりいただける商品となっております。

ゴディバジャパン 佐久間直樹さん:カカオの原料が非常に高騰しておりまして、その中でも、調達の部分であったり、輸送コスト・製造コストなどを見直して、安定した品質を提供できるように努力しております。

■カカオ豆高騰「カカオショック」がバレンタイン直撃

ことしのバレンタインデーを直撃しているのが、カカオ豆の高騰「カカオショック」だ。

カカオの取引価格は、おととしと比べて約4倍に上昇。その背景にあるのが、異常気象とウイルスのまん延だ。

世界全体のカカオ豆の生産量のうち6割を占めるコートジボワールとガーナで、木を燃やすしか対策のないウイルスがまん延。この2国で生産するカカオのうち、3割が消えたという。

チョコレート研究の権威 広島大学 佐藤清隆名誉教授:4億7000万本を全部燃やしたんです、ガーナ一国だけで。水際作戦で必死になって今(ウイルスまん延を)止めているという状況ですね。

燃やしたカカオの木が元に戻るには、4~6年かかるということで、佐藤名誉教授はカカオショックが長期化する恐れがあると指摘している。

広島大学 佐藤清隆名誉教授:ガーナの国家の外貨収入の20パーセントがカカオなので、不退転の決意で農園を全部作り変えると。これはもうガーナにとってはここで負けたら全部、国がもう危ないということで、やっていますね。

こうしたカカオショックなどの影響により、ことしのバレンタインチョコ1粒あたりの平均価格は史上初400円を突破。
(※帝国データバンク調べ バレンタインチョコ1粒の平均価格418円)

この値上がりに街の人は…
街の人:一粒?えっ高級品やん。(チョコを)あげられねえよもうもう。

夫婦:ええ高。(Q.値上がりしても買いますか?)(夫が)チョコ好きなんで、彼の好きなチョコをあげられたらいいなと思うので、全然買うと思います。

■カカオショックで工夫をこらすお店

カカオショックの逆風に、店側も創意工夫で対応している。

ICHIJI 伊知地恭兵社長:こちらはタンザニア産のカカオ豆です。生の状態なので、今からばい煎していきます。

カカオ豆の仕入れから、全ての工程を店舗で行う高品質の板チョコレートが看板商品のこちらのお店。

カカオの仕入れ値は去年の同じ時期から約2倍に上昇。さらに光熱費や人件費なども上昇する中で、高騰の影響を比較的受けにくい焼き菓子のラインナップを増やした。

ICHIJI 伊知地恭兵社長:(カカオの)価格が上がったからといって、それを素直に反映させるだけじゃなくて、うちとしても経営努力の部分で、新商品が生み出されたりとかもあるので、前向きに捉えてはいます。

国内外から約3000種類のチョコが集結する阪急うめだ本店の「バレンタインチョコレート博覧会2025」。ここでもチョコだけに頼らない商品にも注力していた。

ことしは、50類から選べるアイスコーナーを新設。また箱ではなく1粒からチョコを選べるブランドも拡充した。それでも、商品の平均価格は去年に比べて1割ほど上がったということだ。

■「カカオ値上がり」生産者にメリットも

消費者にとっては痛手のカカオの高騰。一方で、生産者にとっては一定のメリットもあるという。

広島大学 佐藤清隆名誉教授:カカオ豆を生産する人たちは、はっきり言うと、僕らが買っている値段では、全然生活できないような、そういう厳しい生活をされている。カカオの価格がある程度の高いところで落ち着けば、カカオ生産者は元気になるというふうに思います。

収束の見えないカカオショック。 生産者も消費者も幸せになるチョコレートの値段に落ち着く日は来るのだろうか。

(関西テレビ「newsランナー」 2025年2月12日放送)

関西テレビ
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