日本時間の2月8日、石破首相はアメリカのトランプ大統領と初めて日米首脳会談を行った。
■【動画で見る】橋下徹が解説 初の日米首脳会談「大成功」だが…これからが大事
会談で石破首相は約150兆円の投資拡大などを発表し、アメリカ経済に貢献するとアピール。帰国後、テレビ番組に出演した際には投資について、「投資は民間がやることですから」と発言したことが話題になっている。

橋下徹氏は2月12日放送の関西テレビ「旬感LIVEとれたてっ!」に出演し、今回の会談について、これからが勝負だとしたうえで、「150兆円投資する」と発言したことで、トランプ氏の過度な要求を食い止めたという点において「大成功だと思う」と評価した。
■「トランプさんからの無理難題を食い止められた。大風呂敷を広げるのも重要」

橋下徹氏:トランプさんが日本に対してあれやこれや言ってくることを回避したという意味では、初回の首脳会談は大成功だと思います。トランプさんは日本に対して、防衛費や様々な無理難題を言ってきそうなところを食い止めているから、大成功だと思います。ただ、これからが勝負ですよね。
会談の中で「150兆円投資する」という石破首相の発言について、橋下氏はこの発言の背景にある外交戦略を指摘した。
元プロテニスプレーヤー 沢松奈生子さん:政府が(お金を)出すわけじゃないってことは、実現可能かどうか何の保証もないわけじゃないですか。そんな約束をして、後で『お前言うたやないか』って言われることはないんですか?
橋下徹氏:後で必ずチェックが入りますけれども、でも首脳会談はこんなもんなんです。トランプさんは数字が大きいのが好きなので、今、日本のアメリカへの投資、8000億ドルぐらいなんです。あと2000億ドル増やすのは、このままいけばいけるだろうぐらいの話で。1兆ドルって言ったから、トランプさんから無理難題をふっかけられるのをなんとか食い止めることができた。あれが外交で大風呂敷を広げるというのも重要だと思います。全く問題ないと思いますよ。
■「その場その場で、強烈な無理難題をかわしていく 日本の国力だったらそれが精一杯」
また、今回の会談で日本が得たものについて問われると、橋下氏は、日本は無理難題を交わしていくことで精一杯だと自身の見解を示した。

橋下徹氏:成果は無理難題を言われなかったことだと思いますよ。アメリカに対して何か言って得られるなんて、過去の政権でもなかったですから。日本の政治家は国内向けには威勢のいいことを言う人が多いですが、アメリカに対して、日本の要求を全部満たしたようなそんな政治家いましたか?戦後の歴史を振り返って。
橋下徹氏:トランプさんが絶対に嫌がっていた多国間連携、トランプさんは一国一国で全部交渉するっていうやり方なんですが、日米豪印や日米韓など、こういう多国間連携もやっていきますよってことは共同宣言に入ったんですよ。 バイデンさんや安倍さんがずっと言ってきたこと(多国間連携)は入ったんです。
橋下徹氏:ですが、トランプさんは紙を読んでませんから。何が書かれているかほとんどわかってないです。 トランプさんは日米共同宣言に書かれたことなんて関係なく、次の時にはバンバン言ってくるので、日本はその場その場で、強烈な無理難題をかわしていく。日本の国力だったら、それが精一杯です。相手がトランプさんなので。
■「向こう(トランプ政権)はジャイアン。我々はのび太くんです」
石破首相が総裁選で主張していた日米地位協定の改定などの公約実現は、今後もトランプ大統領と交渉を重ねるうえで、なかなか難しいものなのだろうか。

橋下徹氏:日米地位協定の改定など出してほしいですが、それはアメリカが言ってくる防衛費の増額分も受け入れて、その代わり地位協定の話とか、交渉しないと、今の段階で言っても、アメリカからしたら(手で払う仕草をして)『シッシッ!』ってなってしまいますね。
また石破首相はトランプ大統領に対し、日本がアメリカに「約150兆円」投資するとも話した。
元プロテニスプレーヤー 沢松奈生子さん:本当に根本的な問題ですが、投資するって話が出たときに、てっきり政府がやることだと思ったんです。でも、よくよく調べたら民間の企業がやるって一国の総理が約束できるものなんですか?
橋下徹氏:約束といっても、法的な約束ではないんですよ。例えば、日本がアメリカに投資するときに、政府が投資をするっていうのは、我々の税金を使うんで大変なことになります。そういう意味では民間投資が原則で。だいたいそこ(金額)を目指して行きますよぐらいの話で。理想論としては、日本の立場でもっと言ってもらいたいですよ。
橋下徹氏:だけど、向こうはジャイアンですから。政治をやっている人間として現実論を言い過ぎかも分からないですけど、ジャイアン相手にどうするかっていうこと。 ジャイアンはのび太のおやつから漫画から何から取り上げるけど、日本は取り上げられなかったんです。これを良しとするかどうか、のび太くんの立場としてね。 理想論で言えば、『のび太はいやだ!ジャイアンに対してはジャイアンで行け』と言いたいけど…
元プロテニスプレーヤー 沢松奈生子さん:ドラえもんの道具はないんですか?
橋下徹氏:だからそれを今から一生懸命考えなきゃいけない。
■トランプ大統領の強烈な政策
トランプ大統領は就任早々、強烈な政策をさまざま打ち出している。例えば1セント硬貨の製造中止や紙ストローの推進中止など。 トランプ大統領の環境政策はバイデン政権と真逆で、政権交代でダイナミックに変わった。

橋下徹氏:賛否両論はあると思うんですけど、紙ストローの廃止、よくぞ言ってくれたなと思いますよ。政治家として環境問題になると、こういうことみんな言わないんですけど、僕はプラスチックは使いません。何も使わずにそのまま飲みますが、紙ストローは本当にまずくなっちゃうから、それだったら使わない。
■「政治家の使命は、『言ったことはやる』ことだと思う」
トランプ大統領は、大統領令を含めいろいろな政策をダイナミックに進めようとしている。橋下氏はトランプ大統領の実行スピードを評価する一方、日本の政治家の姿勢について一石を投じた。

橋下徹氏:トランプさんの言っていることに賛否両論は当然あるし、批判するところは批判しなきゃいけないんですが、政治家の使命って、言ったことはやることだと思うんですよ。やったことがダメだったら、次の選挙で落とせばいいので。
橋下徹氏:日本の政治家はそれをやらないんですよ。大統領制じゃなくても、議院内閣制でもできるんです。はっちゃけて、(公約を)全部やりきって、『あとは選挙で審判してくれ』っていうのが、政治だと思います。
首相就任以来、見えにくくなっている「石破カラー」。 今後どのような場面で発揮されるのだろうか。
(関西テレビ「旬感LIVEとれたてっ!」2025年2月12日放送)